著者
藤本 篤士
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.967-974, 2016 (Released:2016-08-20)
参考文献数
51

慢性期高齢者は, 在宅居住者は居宅サービス施設・事業所などを利用したり, 施設定員が約160万人の介護保険施設や老人ホームで生活している. これらのサービス利用者や施設入所者には PEMの割合が多く, 廃用や栄養低下などに伴う筋萎縮の割合は介護度が上がるにつれて増加している. 高齢者の栄養管理の最重要目標は, 骨格筋量を維持して日常生活活動度の低下を防止することであると言われている .これを達成し, 再入院などを避けるためにも腎機能低下や摂食嚥下障害など高齢者の特性を考慮した適切な栄養管理と並行して, 十分なリハビリテーションを行うことが必要であるが, 現状の調査結果ではいずれも十分とはいえない. またサルコペニアやフレイルの予防にもリハビリテーション栄養の考え方が重要であり, 高齢化が進行する日本において, さらなる研究と実践が求められる.
著者
藤本 篤士
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.369-372, 2007-03-31 (Released:2011-12-05)
参考文献数
3
著者
武井 典子 藤本 篤士 木本 恵美子 竹中 彰治 福島 正義 奥瀬 敏之 岩久 正明 石川 正夫 高田 康二
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.384-396, 2009-03-31 (Released:2011-02-25)
参考文献数
25
被引用文献数
3

近年, 軽度の要介護高齢者の増加が厚生労働省より指摘され, 平成18年度の介護保険制度の改正では, 介護予防として口腔機能の向上が位置づけられた。また, 平成20年度の「後期高齢者医療制度」では, 食べる・話す・笑う機能を低下させないために「口腔機能の評価と管理」が位置づけられた。しかし, どちらも総合的な評価法や具体的な管理方法は, 社会科学的施策として確立されていない。このような現状から, 著者らは, 自立から要介護までのすべての高齢者のための介護状態の予防・軽減, QOLの向上などを目指した安全で有効な口腔機能の評価と管理のシステムの開発を試行し, 広く社会科学的に合理的な施策として実現すべく検討を試みてきた。今回はその第1報として, 自立高齢者を対象に, 口腔機能の総合的な検査法, その結果に基づいた改善法, その実施の有効性についての評価法を試行検討した。対象者は, 札幌市の某ケアハウスに入所している自立高齢者91名である。口腔機能を総合的に評価するために, 口腔の周り, 口腔の入り口 (咀嚼), 口腔の奥 (嚥下), 口腔の清潔度の4つのカテゴリーに分けて行った。その結果を活用して改善法を提案・実施・評価を行った。その結果, 咀嚼力の判定, 唾液湿潤度検査, 反復唾液嚥下テスト, オーラルデイアドコキネシス, カンジダ検査が有意に改善したことにより, 今回試作したシステムは, 自立高齢者の口腔機能の評価と向上に役立つ可能性が示唆された。