著者
横関 仁 中島 雅之輔 中村 純人 藤本 輝世子
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.337-341, 1997-05-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
8

我々は15年以上フォローアップし,現在18歳以上の脳性麻痺患者264例(男179例,女85例)の周生期危険因子,療育期間の健康状態,原始反射の推移,各種運動機能の出現時期,IQ,てんかんの有無,股関節脱臼・側弯症等の変形の有無,整形外科手術の有無など50項目を調査した.これらに数量化II類による多変量解析を行うことによって,成人期の移動,独歩,経済的自立の可否の予測がどの程度まで可能となるかを分析した.移動能力の獲得に関しては肘立て,寝返り,首すわりの完成時期と側弯発生時期,幼児期の健康の評価により,90%以上の確率で予測可能であった.独歩の獲得に関しては,四つ這い,首すわり完成時期と麻痺領域,幼児期のIQの評価を行うことにより,80%以上の確率で予測可能であった.経済的自立能力の獲得に関しては,歩行開始時期,幼児期のIQ,麻痺領域,肘立て完成時期,首すわり完成時期を評価することにより,80%以上の確率で予測可能であった.