著者
三宅 仁 宮本 義行 瀬 和頼 藤本 輝雄
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.1243-1246, 1984-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
7
被引用文献数
1

抗血栓性材料の分子設計に当り、表面荷電の影響が注目されているが、プラスとマイナスのモザイク状態を保つような材料の合成が困難であるため十分な研究はなされていない。著者らは新しく開発されたマルチブロック共重合体を用い、無荷電、プラス荷電、マイナス荷電、プラス・マイナス・無荷電のモザイク荷電をそれぞれもつ材料を合成し、血小板との相互作用を検討した。その結果以下の事実が明らかになった。未処理(無荷電)およびプラス荷電材料においては血小板が多数粘着し、マイナスおよびモザイク荷電材料は比較的良好な血小板粘着抑制効果を示した。この事実は、全血凝固過程による評価方法の結果と一致しなかった。モザイク荷電材料のみが血小板粘着抑制および全血凝固過程の両者ともに比較的良好な結果を示した。これらの事実は、モザイク荷電材料が理想的な抗血栓性材料となりうることを示唆しているものと考えられる。