- 著者
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藤本 邦彦
西 敏夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本ゴム協会
- 雑誌
- 日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.6, pp.465-476, 1970 (Released:2008-04-16)
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
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39
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カーボンブラック系加硫ゴムについて, パルスNMR法によりカーボンブラック周辺に形成される稠密構造 (C相), およびカーボンブラック周辺から離れた部分 (A相) のゴム分子鎖達の分子運動性とその成分量を解析し, 分子運動性の状態から見た構造を, 純ゴム, プラスチックと比較すると同時に, 力学的刺激による構造 (状態) 変化と, それに関する過去の実験結果を整理し、次のような結果を得た.1. カーボンブラック系加硫ゴムは準ガラス状態の相 (C相) と液体の相 (A相) とよりなり, 前者はNMR半値幅で約5gaussで, その相のゴム分子鎖達の運動は非運動性であり, 層の厚さは充てん剤の補強性により異なるが, ISAF級で約45Å程度である. 一方, 後者は架橋密度により異なるが, 天然ゴム(NR)では架橋間分子鎖長Nlが1,000Å~150Å範囲でNMR半値幅は60m gauss~120m gaussで液体とほぼ同じ分子運動をなす.2. カーボン系加硫ゴムは液体と固体の熱力学的に異なった安定状態にうつり, 不均質構造の発展する方向に進む. この両者の変化は比例的関係にあり, その変化量は充てん剤の周辺に形成するC相の量に比例する.3. A相部のゴム分子鎖の運動はほとんど液体であるため, 力学的刺激過程で充てん剤は回転, 並進運動をなし, その条件での安定位置に移動する.