著者
藤江 未沙 野坂 隆文 石原 佑希子 池野 潤 永瀨 敬顕 小椋 麻友 中平 鈴果
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】<br><br>島根県の食料自給率は65%と中・四国地方の中で一番高く、全国でも12番目に高い自給率を示す。その理由として、島根県では平成15年にしまね地産池消推進協議会が策定した考え方を基に、広報誌やパンフレットによる啓発活動等を行っている。それにより県民の地産池消に対する理解が広がり、地産池消の取り組みが拡大していたことが理由とされている。そこで、より地産池消へ向けての活動を向上させるため、島根県での生産量が安定しているが、消費量の少ない食材として大根をピックアップする。地元の人が興味を持ち、親しみを持ってもらえるような食品開発を目的とした。<br><br>【方法】<br><br>島根県産の大根を使用し、細長くスライスしたものに片栗粉をまぶして油で揚げ、あんをかけた皿うどん風の大根麺作りを実施した。本学学生に試食をしてもらった後、味や食感、麺として活用したいと思うか、価格設定などの項目についてのアンケートに協力してもらった。<br><br>【結果】<br><br>アンケート結果によると、「珍しくて美味しかった」、「色々な料理に活用できそう」、といった総合的に良い評価を得ることができた。今後、価格設定や、パッケージ、栄養価など商品としてのビジョンを詳しく決め、広める必要がある。まずは、本学学生による給食運営管理実習を利用し地域の方や外部の方に、大根麺の存在を知ってもらい、実際に食べてもらうことで農林水産省の地産地消推進計画の4つある推進の柱の「知る」「味わう」「伝える」を実施する。残りの柱である「伸ばす」という点は、給食センターや道の駅などでの販売や提供を行い、大根麺の生産や流通体制を作ることによって、地産池消活動の協力・食料自給率の向上につながると考える。
著者
野坂 隆文 石原 佑希子 藤江 未沙 池野 潤 永瀬 敬顕 上田 恭己
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2019年度大会(一社)日本調理科学
巻号頁・発行日
pp.165, 2019 (Released:2019-08-26)

【目的】天ぷらは一般に人気の日本料理であるが,大量調理においては,作業工程の複雑さや,栄養管理面,さらには時間経過により衣の状態が変化し,品質が低下するという問題が知られている。この劣化現象は温蔵による適温保存の際にも発生するため,出来たての提供が難しい大量調理では敬遠されることが多い。本研究では,適温保存により劣化した天ぷらをより質の高い状態で提供するための調理方法を考案し,給食で提供される料理の質の向上を目指す。【方法】えび・さつまいも・なすを検討試料とし,衣には市販の天ぷら粉を用いた。170℃に設定したフライヤーで調理後,2時間温蔵保管した各試料をコントロールとした。調査対象として,同様の温蔵保管後にスチームコンベクションオーブンを用いて(1)コンビ180℃湿度100%5分,(2)コンビ180℃湿度100%2分,(3)コンビ150℃湿度100%5分の加熱処理をそれぞれ実施し,官能検査による比較を行った。対象者は当校教員7名とし,6項目において採点法による評価を行い,合わせて固さ・テクスチャー・品質についての質問も実施した。【結果および考察】えびでは(1)が全体を通して高評価が多く,質問より全員が天ぷらとしての品質を保っていると返答した。風味においては,全方法で評価が高く,加熱処理によってより香ばしく感じられたと考えられる。さつまいもではえび同様(1)が高評価で,食感・風味・ぱさつきが改善され柔らかく感じたとの評価が多かった。なすでは高評価は(1)の食感のみで,(2)(3)では低評価も多数見られた。全試料において加熱処理により余分な油が一部排出していたが,なすは構造上油を吸着しやすく,(2)(3)では加熱不十分で油っぽさが改善されなかったことが示唆された。
著者
石田(坂根) 千津恵 藤江 未沙
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】伝統的な郷土の家庭料理が次世代へ伝え継がれることを目指し、日本調理科学会の平成24~25年度特別研究の一環として、島根県における家庭料理の継承の現状把握と地域住民が伝え継ぎたいと考えている料理を調べることを目的にアンケート調査および聞き書き調査を行った。<br>【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」島根県アンケートおよび聞き書き調査を実施した。調査期間は平成25年9月から平成26年1月であった。アンケートは島根県在住の一般男女20~80歳代の計90名を対象に自記式アンケート調査を行い、聞き書き調査は日本調理科学会のガイドラインに従い島根県で生まれ育ち、その地域で30年以上居住している40~80歳代の女性13名を対象に現地に赴き調査を行った。<br>【結果】アンケート調査より、「作ったことがある料理」としてしじみの味噌汁、赤貝を用いたのっぺ汁や赤貝ご飯の他に、ちまきや雑煮などの行事食が上位10品に挙がった。ちまきは端午の節句に作られる料理で、平成22年度の「年中行事食」の調査結果からも認知度が高いことが報告されており、実際に多くの人が作っていることが明らかとなった。しかし、雑煮や赤貝料理は60~70歳代では約8割が作ったことがあると回答した一方で、特に20歳代では約2割しか作った経験がなく20歳代と60~70歳代との回答結果には有意な差が認められた。聞き書き調査では、「昔は作っていた」と半数以上の人が回答した料理は、島根県西部5品(のべだんご、芋だんご、ぬり餅、こうせん、おまん寿司)、東部7品(クジラ汁、七草粥、松茸ご飯、こうせん、ゴズ・セイゴの干物、ふき餅)であった。