著者
片山 信也 田山 ちぐさ 藤田 巧 斉藤 美英 鈴心 秀歌 小野内 栄治
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3-4, pp.282-288, 2000-12-25 (Released:2017-07-07)
参考文献数
26

小規模サイレージ発酵試験法を用い, サイレージ発酵がヨーネ菌(Mycobacterium avium sub sp. paratuberculosis)の活性に及ぼす影響について検討した。滅菌生理食塩水で水分80%(v/w)に調整した滅菌ルーサン粉末とヨーネ菌懸濁液を滴下した濾紙を入れたパウチサイロに, 乳酸菌またはギ酸を添加剤として加えて調製した。5℃で14日間貯蔵したサイレージではpHが高く, 乳酸含量が低く, 乳酸発酵は進行しなかった。また, サイレージ中のヨーネ菌は高い菌数レベルで検出された。一方, 30℃と37℃で貯蔵したサイレージではpHが低く, 乳酸含量が高い良質なものであり, サイレージ中のヨーネ菌は死滅して検出されなかった。ギ酸, 乳酸, 酢酸, プロピオン酸および酪酸に対するヨーネ菌の耐性はそれぞれ0.05, 0.10, 0.05, 0.10 および0.30%(v/w)以下であり, 0.50%有機酸溶液に7日間浸潰したヨーネ菌は菌体の変形が観察された。しかし, 有機酸の添加液を30%(v/w)のNaOHでp日6.5に調整した場合, 有機酸の濃度に関わらずヨーネ菌は生残した。以上の結果, サイレージ発酵産物が効果的にヨーネ菌の生育を抑制するため, ヨーネ菌に汚染された良質発酵サイレージはヨーネ病の感染源にならないが, pHが高く, 乳酸含量が低い劣質発酵サイレージや低水分サイレージ中のヨーネ菌はヨーネ病の感染源になる可能性が示唆された。
著者
長野 克則 横山 真太郎 濱田 靖弘 絵内 正道 藤田 巧
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)調湿材料の選択とその吸放湿特性:種々の天然調湿材料を比較検討した結果、価格対調湿効果の点で、稚内層珪質頁岩が優れた特性を有することがわかり、この稚内層珪質頁岩を建材や塗料に混入させた場合の静的および動的特性について実験的に明らかにした。(2)調湿機能を有する内装材を設置した実証実験:床面積7.5m^2の部屋の内壁23.2m^2部分に、稚内層珪質頁岩を1.92kg/m^2含有する石膏ボードを設置した場合と、普通石膏ボード表面に稚内層珪質頁岩を0.68kg/m^2含有する人工漆喰を塗布した場合について、日単位で加湿、除湿を繰り返した時のパッシブ調湿作用について検討した結果、両条件とも普通石膏ボード仕上げの場合に比べて、顕著な調湿作用を示した。(3)室内調湿効果予測のためのシミュレーターの開発:室内仕上げ材に調湿機能を持つ建材を導入した時の室内湿度を予測するシミュレーターを開発した。調湿建材の使用により、たとえば東京では梅雨時期にかび発生の危険域と言われる相対湿度90%以上となる時間を10分の一以下に減少できることが示された。(4)各種ガス吸着、調湿作用がある物質のVOC吸着・脱着特性に関する実験的検討:容量20Lの密閉チャンバー内を一定温湿度に保ち、トルエン、アセトアルデヒド、標準VOC7成分のそれぞれに対して稚内層珪質頁岩の吸着量を測定した。いずれのガスに対しても、稚内層珪質頁岩は活性炭とほぼ同等の吸着性能を持つことがわかった。一方、高温・低湿度環境下において、一度吸着したガスの脱着について測定したところ、アセトアルデヒドに関しては明らかに脱着が確認されたものの、トルエン、VOC7成分に関しては活性炭と同様に脱着は見られなかった。さらに、悪臭成分のアンモニアに対する最大吸着量を調べた結果、高い吸湿性能を有する稚内層珪質頁岩は水溶性のアンモニアの吸着に優れており、最大吸着量は活性炭の30倍以上となることが明らかにされた。