著者
小早川 明良 藤田 成俊 伊藤 泰郎
出版者
特定非営利活動法人社会理論・動態研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

一般的に広く存在する被差別部落が屠畜・精肉、製靴などの皮革産業、竹細工と深く関係しているという考え方は、たんなるステレオタイプに過ぎない。その考え方が国民の間に形成されたことは、「科学的研究」の責任の一端がある。明治の初めから、これらの産業・職業の主要な位置を占めたのは、非被差別部落の経営者であり、労働者であった。現在では、被差別部落の人びとは、その立場は弱くてもそれぞれの地域の産業構造に組み込まれ、生産の一翼を担っている。被差別部落にあって、非被差別部落にない産業・職業は一切存在しない。これが研究の結果である。