著者
川下 芳雄 小林 弘典 大賀 健市 大盛 航 板垣 圭 藤田 洋輔 竹林 実
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.837-845, 2016-10-15

抄録 視覚障害者に鮮明な幻視を呈する病態はシャルル・ボネ症候群(Charles Bonnet Syndrome;CBS)というが,近年,難聴の高齢者の一部に音楽性幻聴が出現するCBSの聴覚型が聴覚性CBS(auditory CBS;aCBS)と呼ばれている。高齢女性の難聴者に音楽性および要素性幻聴が生じ,aCBSが疑われ,非定型抗精神病薬は無効で,carbamazepineを含む抗てんかん薬が有効であった2例を経験した。1例目は,軽度認知機能障害をベースにaCBSが生じ,精神運動興奮,被害念慮を伴い,脳波異常はなかった。2例目は,被害妄想を伴い,脳波異常を有していた。2例とも脳萎縮,右側頭葉の血流増加の所見を共通して有しており,解放性幻覚仮説と呼ばれる脳の脆弱性や機能変化がaCBSの病態に関連する可能性が考えられた。
著者
藤田 洋輔 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.266-269, 2007-08-31

環境アセスにおけるミティゲーション(自然環境保全措置)において,総量としての自然環境の水準を維持することを目的とした,代償ミティゲーションの制度であるミティゲーション・バンキングは,軽微な自然環境のロスの集積を代償し,開発圧力を利用して戦略的な生態系の保全を目指す社会システムのひとつとしてアメリカで長年の実績があるが,日本では導入が進んでいない。日本ではこの制度について賛否両論があることから,実態を調べるため, 2つのミティゲーション・バンクのケース・スタディを行った。その結果,二次的自然のミティゲーション・バンクや,絶滅危惧種を対象としたコンサベーション・バンク,クレジット計算方法の実態などが明らかとなり,日本においても里地里山の保全など,維持管理を必要とする自然環境の保全にも応用できることを指摘した。