著者
梶本 まどか 松重 武志 山田 健治 小林 弘典 山口 清次 市山 高志
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.150-152, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
10

Cefditoren pivoxil (CDTR-PI) の長期投与中に二相性けいれんの経過をたどった急性脳症を発症し, 低血糖の関与が疑われ, 後遺症を残した1例を経験した. 症例は1歳2カ月女児. 1カ月前より感冒症状があり近医でCDTR-PIを約25日間投与した. 全身強直性けいれんを認め, 当科へ救急搬送され, 低血糖, 血中遊離カルニチン低下, C5アシルカルニチン上昇を認めた. 二次的なカルニチン欠乏症による低血糖が原因と考えた. 3病日に再びけいれんが群発し, 二相性けいれんの経過をたどった急性脳症と診断した. 症候性てんかんを発症し, 左片麻痺, 軽度発達遅滞を合併した.
著者
小林 弘典 藤本 三喜夫 中井 志郎 宮本 勝也 横山 雄二郎 坂下 吉弘
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.2517-2521, 2013-09-25
参考文献数
16

症例は11歳の男児で,下腹部痛を主訴に受診した.腹部造影CTでSMV rotation signを認め,小腸は右側,結腸は左側に偏在しており,下腹部正中に腫大した虫垂を認めたため,腸回転異常症併存急性虫垂炎と診断し緊急手術を行った.全身麻酔下に臍切開単孔式手術を行い,マルチプルトロカール法にて5mmトロカールを2本穿刺した.腹腔内を観察しnonrotation typeの腸回転異常症であることおよびLadd靱帯やpedicleなどの異常膜状構造物がないことを確認した.虫垂の同定は容易であり,トロカール穿刺間の筋膜を小切開し虫垂を引き出し直視下に虫垂切除を行った.腸回転異常症併存急性虫垂炎に対して腹腔鏡手術を施行した症例の報告はまれであり,腸回転異常症併存急性虫垂炎に対する単孔式腹腔鏡補助下手術の有用性を若干の文献的考察を加え報告する.
著者
川下 芳雄 小林 弘典 大賀 健市 大盛 航 板垣 圭 藤田 洋輔 竹林 実
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.837-845, 2016-10-15

抄録 視覚障害者に鮮明な幻視を呈する病態はシャルル・ボネ症候群(Charles Bonnet Syndrome;CBS)というが,近年,難聴の高齢者の一部に音楽性幻聴が出現するCBSの聴覚型が聴覚性CBS(auditory CBS;aCBS)と呼ばれている。高齢女性の難聴者に音楽性および要素性幻聴が生じ,aCBSが疑われ,非定型抗精神病薬は無効で,carbamazepineを含む抗てんかん薬が有効であった2例を経験した。1例目は,軽度認知機能障害をベースにaCBSが生じ,精神運動興奮,被害念慮を伴い,脳波異常はなかった。2例目は,被害妄想を伴い,脳波異常を有していた。2例とも脳萎縮,右側頭葉の血流増加の所見を共通して有しており,解放性幻覚仮説と呼ばれる脳の脆弱性や機能変化がaCBSの病態に関連する可能性が考えられた。
著者
原 鐵洋 二宮 基樹 土井 寛文 久原 佑太 木建 薫 豊田 和宏 小林 弘典 橋本 泰司 坂下 吉弘 宮本 勝也 嶋本 文雄
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-7, 2020-01-01 (Released:2020-01-31)
参考文献数
13

ニボルマブ投与により原発巣が著明に縮小し,10か月後に著効を認めたStage IV胃癌を経験した.症例は80歳の女性で,進行胃癌の診断で当院へ紹介された.No. 11リンパ節,大動脈周囲リンパ節の腫大を認め,Stage IV胃癌と診断した.一次治療でS-1とoxaliplatinの併用療法,二次治療でramucirumabとpaclitaxelの併用療法を施行したが有害事象と病状進行のため中止し,三次治療としてニボルマブを開始した.6コース投与後に原発巣が縮小した一方でNo. 11リンパ節は増大傾向を示したが,QOLの著しい改善を認め継続したところ,19コース投与後に著明な縮小を認めた.30コース投与後に原発巣は瘢痕化し,No. 11リンパ節はさらなる縮小を認めた.ニボルマブ投与により画像上増悪傾向を示しても全身状態,治療経過を考慮し継続することで遅発性に効果を認める例があることが示された.
著者
山口 清次 長谷川 有紀 小林 弘典 虫本 雄一 PUREVSUREN Jamiyan
出版者
島根大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

成人には無害でも小児に対して健康被害を起こす薬剤が知られている。そこで、培養細胞とタンデムマス質量分析計を用いるin vitro probe acylcarnitine(IVP) assayという方法を応用して、小児に対する薬物等の脂肪酸β酸化に対する毒性を評価するシステムを確立した。アスピリン、バルプロ酸などは、脂肪酸代謝の脆弱な細胞でβ酸化障害が増強された。ベザフィブレートはβ酸化異常症の代謝を改善した。
著者
菅野 了次 園山 範之 米村 雅雄 田村 和久 山田 淳夫 鳥飼 直也 小林 弘典 山田 淳夫 小林 弘典 鳥飼 直也
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究課題では,新規なイオニクスデバイスの開発を目的として,新規材料開発と新規反応開拓を目指した.全くのブラックボックスである電気化学界面での反応挙動の解明のためにモデル電極を開発し,電気化学界面での反応の詳細が明らかにできるようにしたことが,本研究の大きな成果である.また,最高のイオン導電特性を示す固体電解質材料にたいする純理学的な知見は,今後の材料開発の指針を示すものである.