著者
藤田 英徳 西本 一志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.742, pp.1-6, 2004-03-18
被引用文献数
3

近年のIT技術の発達に伴い,携帯電話やコンピュータを利用したコミュニケーションツールが発達し,遠隔地間でも気軽にコミュニケーションを取る事ができるようになってきた.しかし,既存コミュニケーションツールでは思いやりのような繊細な気持ちを十分に伝え合うことは依然として難しい.その困難の理由として,互いの状況に関する常時的認識と適時性の欠如,また非言語情報の不足が考えられる.本研究では,状況に関する常時的認識と適時性に注目し,気温情報を状況アウェアネス情報として常時伝達しあい,気温変化が生じた際に「あたためる行為」を伝えることにより,遠く離れた親しい人への思いやり感を醸成するシステムを"Lovelet"を提案する.Loveletを用い,二組の遠距離恋愛を行うカップルに約2週間の実験を行い,アンケート調査とログデータに基づき評価を行った.この結果,実際に気温変化に応じた「あたため行為」の伝達が生じ,それによって親しみ感やつながり感が増すことがわかった.また,既存コミュニケーションツールと併用して使用するセカンドコミュニケーションツールとしての有効性も確認され,さまざまな気持ちのやりとりにも使用されていたことも明らかになった.