- 著者
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竹田 大輔
藤野 滋弘
澤井 祐紀
松本 弾
高田 圭太
- 出版者
- 日本堆積学会
- 雑誌
- 堆積学研究 (ISSN:1342310X)
- 巻号頁・発行日
- vol.81, no.1-2, pp.3-17, 2023-02-28 (Released:2023-06-17)
- 参考文献数
- 37
津波堆積物を河川の氾濫など他のイベントで形成された層と区別するためには堆積物から遡上流・戻り流れを識別することが重要である.過去の津波の古流向を復元するため,Takada et al.(2016)が報告した礫質津波堆積物のX線CT画像を対象にして統計的仮説検定を用いた粒子インブリケーション解析を行なった.解析はTakada et al.(2016)のTSd1に相当する層(S1)に対して行い,2地点で採取した3本のコアを使用した.解析の結果をローズダイアグラムで示し,さらに得られた長軸方向角度データが従う分布型や,長軸方向角度データが統計学的に有意な集中を持つかを調べるために統計学的仮説検定を行った.その結果,S1層には遡上流と戻り流れのユニットが存在することが示された.S1層の中において遡上流のユニットは戻り流れのユニットよりも厚く,より頻繁に観察された.