著者
山口 直文
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.29-38, 2018-12-20 (Released:2019-03-27)
参考文献数
36
著者
竹田 大輔 藤野 滋弘 澤井 祐紀 松本 弾 高田 圭太
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1-2, pp.3-17, 2023-02-28 (Released:2023-06-17)
参考文献数
37

津波堆積物を河川の氾濫など他のイベントで形成された層と区別するためには堆積物から遡上流・戻り流れを識別することが重要である.過去の津波の古流向を復元するため,Takada et al.(2016)が報告した礫質津波堆積物のX線CT画像を対象にして統計的仮説検定を用いた粒子インブリケーション解析を行なった.解析はTakada et al.(2016)のTSd1に相当する層(S1)に対して行い,2地点で採取した3本のコアを使用した.解析の結果をローズダイアグラムで示し,さらに得られた長軸方向角度データが従う分布型や,長軸方向角度データが統計学的に有意な集中を持つかを調べるために統計学的仮説検定を行った.その結果,S1層には遡上流と戻り流れのユニットが存在することが示された.S1層の中において遡上流のユニットは戻り流れのユニットよりも厚く,より頻繁に観察された.
著者
山口 直文 滝 俊文 関口 智寛
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1-2, pp.3-9, 2022-02-28 (Released:2023-01-20)
参考文献数
16

ウェーブリップルの形状への堆積物供給の影響を調べるための造波水路実験を行った.実験では,水理条件がほぼ同一で,上方より降らせる堆積物供給の速度のみを3段階に変化させることでその影響を調べた.堆積物供給速度が比較的小さい実験では,ウェーブリップルの形状は維持されたまま積み重なっていた.堆積物供給速度が大きくなるにつれてウェーブリップルは平坦化され,その領域は広くなった.今回の実験の水理条件および堆積物の条件(水深:0.3 m,波の周期:1.0 s,波の平均波高:76-78 mm,堆積物粒径:0.20 mm)の下では,砂床上昇速度が32 mm/min以上の実験でウェーブリップルの平坦化が観察された.今回の実験は,ウェーブリップル形状は堆積物供給の影響を受けないというこれまでのウェーブリップル葉理形成モデルにおける仮定が,堆積物供給速度が大きい場合には必ずしも成り立たないことを示唆している.
著者
池原 研 畢 東 鈴木 泰輔 木下 泰正
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究会報
巻号頁・発行日
vol.29, no.29, pp.9-18, 1988

Heavy mineral analyses were made for 18 samples of marine surface sediments in the Osumi Strait, south of Kyushu, Japan. Hypersthene is the most abundant, common hornblende, augite and olivine are next among the non-opaque minerals. The amount of heavy minerals is rich in the southwestern part of the Strait. There is a tendency to decrease in the total amount of heavy minerals and in specific gravity of bulk sediments northeastward. Surface sediments tend to become finer in the same direction. The current velocity necessary to move the sediment grain is changed with the specific gravity at the same grain size, because the grains with higher specific gravity are less mobile than the grains with lower specific gravity. It is considered that the grains are transported to the direction toward which the sediments become lighter in specific gravity and finer in grain size. Therefore, surface sediments distributed in the Osumi Strait are moved from southwest to northeast. This direction is concordant with the dominant current direction in the Strait. This means that the sediments are transported by the ocean current, the Osumi Branch Current, one of the branches of the Kuroshio flowing through the Strait and that the sediment distribution is highly influenced by the current.
著者
増田 富士雄 中川 要之助 坂本 隆彦 伊藤 有加 櫻井 皆生 三田村 宗樹
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.115-123, 2008
被引用文献数
4

大阪平野の沖積層(難波累層)中部に特徴的に発達する天満砂州堆積物について,地盤情報データベースによる解析とこれまでに報告されている <SUP>14</SUP>C年代値や火山灰層などのデータから,その分布と層位を明らかにした.それによれば,天満砂州堆積物は,6000年前から5000年前の最高海面期にはすでに堆積しており,約8000年前以降の海進期に形成されたものである.天満砂州堆積物は砂礫からなる"砂嘴堆積物"である.それは,分布が細長いこと,前進堆積体であること,離水していたと考えられること,海面上昇に伴い陸側斜め上方に発達していること,波浪堆積構造が認められることからわかる.また,天満砂州に堆積物を供給した波食台あるいは波食棚と海食崖と考えられる古地形が,上町台地の西縁に認められることも,それを支持している.<BR>天満砂州の発達は8000年前から7000年前のある時期の海面の急上昇というイベントを挟んで,2段階で行われた.最高海面期の天満砂嘴は,天満から長柄を経て淡路に至る地域に,幅100 m以下,長さ7~8 kmで発達していた.天満砂州は,その後の高海面期に沖側に前進する砂浜海岸や砂礫浜海岸へと変化してその幅を増していった.
著者
金井 豊 井内 美郎 徳岡 隆夫
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.47, pp.55-70, 1998-04-30 (Released:2010-05-27)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

中国大陸の湖から採取した二つのコアにおける放射性核種の分布と化学組成とを調べ, 平均堆積速度の算出を行い堆積環境について予察的に検討した. その結果, 構造盆地湖である Daihai 湖では約0.3cm/y程度の堆積速度が推定され, この値は日本における湖沼の平均堆積速度の範囲内であった. 化学組成からは, 堆積物の供給源が異動してコアの化学組成にわずかな変動をもたらしたことが示唆された. また, 湿地帯の閉鎖湖である Blackspring 湖では約0.1cm/yで, 前者の1/3程度の値であった. 含水比や化学組成に変化がみられた16~18cmあたりは160~180年前と推定され, そのころから以前と異なる堆積物が供給され始めた可能性が高い. また, セシウム-137のインベントリーは, 日本における過剰鉛-210との関係から推定されるものよりも大きく, これは中国におけるセシウム-137の供給量が日本における場合よりも多かったこと, ならびに湖からの流出が少なかったことなどが原因と考えられる.
著者
船引 彩子 納谷 友規 斎藤 広隆 竹村 貴人
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.137-152, 2014-12-26 (Released:2015-02-24)
参考文献数
32
被引用文献数
3

関東平野西部には武蔵野台地に代表される中期更新世後期以降の段丘地形が広がり,段丘堆積物の下位に鮮新世末から中期更新世に堆積した海成層を主体とする上総層群が分布することで知られている.本研究は武蔵野台地のうち,立川面に位置する東京都府中市おいて掘削された,CRE-TAT-1及びCRE-TAT-2コアについて堆積相の観察を行い,含水比,懸濁液のEC·pH,珪藻分析,蛍光X線分析による元素の含有率などの測定を行い,堆積環境を推定した.本研究では,対象地において実験用の熱交換井50m分を掘削する際に同深度のボーリングコア試料を採取し,堆積相の詳細な記載を行い,堆積物の各種物性値を計測し,堆積環境の復元を行った.その結果,対象地の地下50mに分布する地層は複数の堆積サイクルからなることが明らかになった.両コアは主に3枚の礫層とそれに挟まれた砂層および泥層からなり,下位よりユニット1〜7に分けられる.このうちユニット2·4·6は砂礫層からなり,河川堆積物を形成する.ユニット1は主に砂質の河川チャネル堆積物から構成される.ユニット3は主に砂〜シルト層からなり,淡水生の珪藻や生痕が含まれ,氾濫原〜チャネルのような環境を示す.ユニット5は下部で陸域の環境を示すが,中部は青灰色のシルト層で海生の珪藻を産出する.硫黄の含有量,ECともに高い値を示し,海成層と考えられる.このシルト層は上方に向かって砂質のチャネル·氾濫原堆積物へと漸移的に変化し,浅海化の傾向が見られる.各ユニットは大まかにはユニット1〜4が陸成,ユニット5が海成〜陸成,ユニット6·7が陸成の堆積物からなる.ユニット6は立川面を構成する段丘礫層,ユニット7が立川ローム層,またユニット1〜5は上総層群の舎人層である可能性が高い.
著者
安田 佳那子
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.219-222, 2012-12-28 (Released:2013-02-25)
参考文献数
5