著者
池田 宗平 藥師寺 祐介 江里口 誠 藤井 由佳 石束 光司 原 英夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.499-504, 2018 (Released:2018-08-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

症例は51歳男性である.49歳時の脳梗塞発症1年半後に進行性の認知機能低下,易怒性,幻覚を契機に前医精神科病院へ医療保護入院となった.精神症状以外に小脳性運動失調をみとめ,当科へ転院した.頭部MRIで両側側頭極皮質下にT2高信号域をみとめ,髄液での炎症所見より辺縁系脳炎と考えた.その原因としては梅毒反応が血清と髄液で陽性であることを確認しえたことから神経梅毒と判断した.ペニシリンG大量療法を施行し,精神症状と小脳性運動失調,髄液所見,画像所見はいずれも改善した.若年者において,脳梗塞発症,または慢性進行性の精神症状,小脳性運動失調をきたす原因疾患の一つとして神経梅毒を鑑別にあげておく必要がある.
著者
藥師寺 祐介
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.743-751, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
53

脳小血管病(cerebral small vessel disease,以下SVDと略記)とは,脳微細血管劣化に伴う効率的な脳内微小循環・代謝・ネットワーク維持の困難な状態,及びそれらによる認知・身体機能低下状態を指す.高血圧性細動脈障害を基盤とした1型SVDは,白人に比べ東アジア人に多い.近年,脳小血管負荷を包括的に半定量化するための取り組み,すなわちMRIマーカー評価に基づいたSVDスコア化が注目されている.この概念は「脳小血管負荷に実用的な閾値はあるか?」という新たな疑問を生んだ.SVD画像マーカーの自動解析手法の開発はこの疑問を解き,1型SVD患者への最適な介入法の発見につながるであろう.