著者
本仲 純子 村上 理一 金崎 英二 森賀 俊広 藪谷 智規 村井 啓一郎 中林 一朗
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本年度はルーマニア(ブカレスト市)と日本(徳島市)で大気から採取された採取された粉じん試料の分析を行った。その結果、大気粉じんに含まれる重金属の組成に明瞭な地域差が確認された。特徴は鉛の濃度がブカレストで高く、日本で低いものであった。本試料採取時には、ルーマニアは欧州で残された数少ない有鉛ガソリン消費国の一つであったため(2005年1月より全面使用禁止)高くなったものと思われる。また、日本では貴金属元素が相対的に高い結果が得られている。これは、ガソリンの無鉛化とともに、排ガス浄化用の貴金属触媒起因と考えられる。また、得られた大気環境のデータの解析に利用するためルーマニアにおける環境調査および行政の対応等の精密な調査を行った。とくに化石燃料を大量に消費し、温暖化ガスを排出する産業であるセメント産業の環境改善に関する取り組みに対して調査を実施した。これに加え、環境試料からの金属抽出に関する論文を提出した。これは、低揮発性かつ高イオン伝導性を有するイオン性液体を金属抽出用溶媒として利用するものである。さらに、窒素酸化物および大気富裕粒子状物質の削減を指向した貴金属触媒を開発した。以上の成果は、複数の国際学会(内一つはルーマニアで開催された国際会議の基調講演に選出)および国際誌への掲載がなされた。