著者
蝦名 智子 松浦 和代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.111-118, 2010-04-01
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は,思春期後期における月経・月経随伴症状の実態,セルフケアの実態,月経教育の実態と今後の課題を明らかにすることを目的とした。第1〜3学年の女子高校生421名を対象に質問紙調査を行い以下の結果を得た。1.対象の平均年齢は16.3歳であった。初経が発来しているものは約99%であり,平均初経年齢は11.9歳であった。2.MDQ(Menstrual Distress Questionnaire)得点から,思春期女子の月経随伴症状は,先行研究に比較して強くなっていることが示された。月経随伴症状は,経血量が「多い」群と,月経の不安・悩みが「ある」群で強く有意の差があった。3.月経の記録を記入しているものは132名(40.2%)であり,月経の記録を記入しているものの割合は,学年進行に伴い有意に高かった(p<0.001)。4.月経に関する教育内容のうち受けたことがない割合が高かった項目は,「月経前症候群」26.9%,「月経の記録と観察」23.0%,「基礎体温の測定と記録」20.9%,「月経中の生活」20.3%,「月経異常」17.6%であった。5.月経教育の実態から,今後の思春期後期における月経教育の重点課題は,1)月経随伴症状の理解,2)月経の観察と記録,3)基礎体温の測定と記録であり,対象者の行動変容をねらいとした教育方法の改善が望まれる。