著者
道下 慈英 中島 孝寛 八重嶋 克俊 衣笠 竜太
出版者
日本スポーツパフォーマンス学会
雑誌
スポーツパフォーマンス研究 (ISSN:21871787)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.298-304, 2022 (Released:2022-12-20)
参考文献数
23

本研究では,セーリング競技のフルハイクアウトの姿勢を模したハイクアウトテストを実施し,その持続時間および下肢への負担の観点から,フルハイクアウトの有効な足首の使い方を明らかにすることを目的とした.足関節を背屈させ舟状骨上にフットベルトをかけるフォーム(NAV)と,足関節 を底屈させ中足骨上にフットベルトをかけるフォーム(MET)でのハイクアウトテストを行い,持続時間と膝関節伸展筋群の筋活動電位(EMG)を比較した.EMG の電極は内側広筋(VM),外側広筋(VL),および大腿直筋(RF)の筋腹に貼付した.MET の持続時間(95 ± 18 秒, 平均値と標準偏差)は,NAV の持続時間(73 ± 20 秒)よりも有意に長かった.全ての対象者は股関節角度を維持できなくなったことにより測定終了したことから,フルハイクアウトの持続時間を決定するのは股関節屈曲筋群の筋持久力であると考えられる.しかし,フォームによる各筋のEMG に有意な違いは認められなかった.股関節屈曲にも寄与するRF に関して,フォームに関わらず,時間経過に伴うEMG の振幅が増大することが確認された.以上のことから,フルハイクアウトの姿勢を長時間持続させるフォームとして,足関節を底屈させるMET が有効であると示された.
著者
衣笠 竜太 谷口 圭吾
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

アキレス腱屈曲点を出現させるメカニズムとその機能的意義は解明されていない。そのため、受動的足底屈動作中におけるヒトアキレス腱の屈曲点出現の解剖学的構造とメカニズム解明を目的とした。アキレス腱は、Kager’s fat pad剥離に伴って座屈したが、腹側への曲率は保持されていた。しかしながら、Kager’s fat padの位置に樹脂を入れると、腹側への曲率は消失した。腱のスティフネスやコラーゲン線維は腱の長軸方向に対して均一な分布であった。つまり、アキレス腱の構造自体が屈曲点をもたらす要因であった。屈曲点によるlength gainは腱の弾性よりも力学的効果によってもたらされていた。