- 著者
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袴田 さち子
今村 安秀
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
- 巻号頁・発行日
- pp.C0922, 2007 (Released:2007-05-09)
【目的】サッカー選手の傷害発生部位は、その競技特性から顕著に足関節・足部から膝関節にかけてが多いと報告される。特に成長期の選手では未完成な骨関節に、硬いスパイクで衝撃を繰り返し受けることからトラブルが生じるケースも少なくない。 今回我々は中学生サッカーチームにおいて、入部年時の膝関節・足関節・足部についてのメディカルチェックとチェック後のシューズサポートを行った結果、若干の知見を得たので報告する。【方法】対象は過去9年間に当院でメディカルサポートを行った同一サッカーチームの男子選手(年齢12~13歳)273名。これを、チーム全員にシューズサポートを行うようになった年度の前後2群に分類した。方法として入部年時のメディカルチェックの結果集計と質問紙法でのシューズに関する調査を行い、2群を比較した。調査内容は1)チーム加入前の膝関節・足関節・足部の傷害既往歴、2)メディカルチェック時の同部位傷害状況、3)スパイク購入時の問題の有無とスパイク使用開始年齢、4)シューズサポートの内容、5)シューズサポート施行前後群それぞれの年間傷害発生率、とした。【結果】2群の分類はシューズサポート施行前群(以下「前群」)97名、同施行後群(以下「後群」)176名であった。1)傷害既往有は前群40名(41.2%)、後群101名(57.4%)であった。傷害の内容は捻挫・骨折・踵部痛・膝関節部痛が主だった。2)メディカルチェック時の傷害状況は脛骨粗面の突出または痛み/外脛骨/偏平足/種子骨/踵部痛/その他で、前群が10/11/6/1/3/7(件)、後群が21/28/8/3/5/8(件)となった。何らかのチェックを受けた者は前群38名(39.2%)、後群66名(37.5%)であった。3)シューズに関する調査では「スパイク購入時に問題がある」と答えたのは、回答のあった99名のうち46名で46.5%は何らかの問題を感じていた。また、スパイク使用は74名(74.7%)が4年生までに開始していた。4)行ったサポート内容は、インソールの挿入が42名、スパイクのポイントの形状選択が68名、スパイクのアウトソールの形状修正が14名であった。5)2群の年間傷害発生は前群が45件で46.4%(件数/人数)、後群が24件で13.6%となった。【考察】選手の半数は当チーム入部前の小学生の段階で何らかの傷害経験があることがわかった。また、メディカルチェックでも、前後群ともに約40%の選手が発症しないまでも問題を有していた。しかし、その後1年間の傷害発生率はシューズに関するサポートを施行した後に顕著に減少しており、成長期のサッカー選手においてはシューズのフィッティングが傷害予防の観点においても非常に重要であることが示唆された。