著者
西 啓太郎 江原 弘之 岩﨑 かな子 内木 亮介 中西 一浩
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.157-160, 2022-07-25 (Released:2022-07-25)
参考文献数
9

頚肋を有し,他院で胸郭出口症候群と診断された20代男性に対して,医師と理学療法士が協働して上肢痛の治療選択をした.その結果,頚肋による神経および血管の圧迫の可能性が低く,非特異的上肢痛であり,運動器リハビリテーションの適応があると判断した.10回のリハビリテーションとデュロキセチンの内服により,123日目に症状が改善した.集学的な評価が侵襲的治療を最小限に抑えることに有効であった.
著者
西 啓太郎 磯谷 隆介 輪違 弘樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1430, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】介護保険は2000年からスタートし,年を重ねる毎にその保険費が増大している。当初3.6兆円(2000年)が8.6兆円(2014年)にまで膨れ上がっている。厚生労働省の推計によると団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年に介護保険費は19.8兆円になると予想されており,国家予算がおよそ100兆円とするとその約2割を占めている。地域で理学療法士が介入することによっての介護度の変化と,それによる経済効果を具体的な数値で示したので報告をする。【方法】対象はH25.6~H27.10の間に弊社の2ヶ所のデイに通所している利用者のうち,6ヶ月以上利用し,理学療法士による運動・生活指導,個別リハを受け,その間に介護度が変化した利用者74名(男性19名,女性55名,年齢80.2±6.7歳)とした。介護度とその利用回数を抽出し,介護保険費(介護保険給付費+自己負担分)を計算した。介護保険の認定期間は新規を除くと原則12ヶ月となっているため,介護度が変化する以前と以後で1年間利用したと仮定し,年間の介護保険費に換算して差を比較した。比較には対応のあるt検定を使用した。また,理学療法士による介入は運動指導,生活指導,個別リハを行い。各利用者個人と達成可能な目標を決め,達成に向けて個別・集団での運動プログラムを実施した。【結果】介護度認定の前後での介護度は有意に改善が見られた(p<0.01)。対象者74名のうち,介護保険更新前は要支援1:15名,要支援2:19名,要介護1:17名,要介護2:11名,要介護3:6名,要介護4:6名,要介護5:0名であった。介護保険更新後は要支援1:15名,要支援2:19名,要介護1:16名,要介護2:12名,要介護3:5名,要介護4:0名,要介護5:0名であった。また,更新後自立に至った利用者は7名であった。介護度認定の前後での利用料金は優位に差が見られた(p<0.01)。年間での介護保険費を計算すると更新前は32,477,640(円/年),更新後は28,527,528(円/年)となり差額は3,950,112(円/年)であった。【結論】今回の結果において介護保険費抑制効果は3期分の合計で3,950,112(円/年間)であった。先行研究においてリハビリ専門職の介入によって介護度が優位に改善する可能性は既に言われている。故に今回の報告は国家予算を圧迫している介護保険費を理学療法士の介入によって抑制できる示唆となった。各地方行政と協同した積極的なリハビリ職種の介入によって,介護保険費の削減が可能であることが示唆された。