著者
桑原 智之 山本 祥平 吉田 俊介 西 政敏 帯刀 一美 佐藤 利夫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.50-57, 2017 (Released:2017-04-18)
参考文献数
12
被引用文献数
2 3

竹チップ燃料の燃焼残渣からカリウム(K)を高効率かつ低コストで回収するため,抽出条件(抽出液の種類と固液比),回収方法(加熱濃縮-温度差析出法)について検討した。抽出液が 1.0 mol L−1 HCl,固液比が1:10 の条件で高効率に K を抽出でき,このとき抽出液から K を 85.4 wt% で回収できた。ただし,薬品コストを考慮すると 0.01 mol L−1 HCl がより妥当であると考えられ,さらに燃焼残渣を微粒化することで抽出率を 65.5 wt% に維持することができた。回収物は水溶性 K を 53.7 wt% 含有しており,回収物の K の化学形は KCl であったことから,肥料としての適用性について検討した。その結果,肥料取締法に基づく KCl 肥料としての含有率の基準を満たしていた。また,As, Cd, Cr, Ni, Pb についても,同様に実験した結果,肥料取締法に基づく焼成汚泥肥料における許容含有量を下回った。よって,竹チップ燃料燃焼残渣からの回収物は K 肥料として使用可能なことが明らかとなった。