著者
田中 さや花 西口 雄基 前田 基成
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.343-352, 2017 (Released:2019-09-03)
参考文献数
27

本研究は,なぜ同じ絵画を鑑賞しても人によって作品の印象や視点が異なるのかを,認知的特性の1つである自閉症スペクトラム傾向に注目し,その個人差が絵画の鑑賞にどのような影響を与えるのか検討するものである。予備調査,本調査ともに1枚の絵画を鑑賞してもらい,質問紙に回答を求め絵画の印象や見方を調査した。その結果,自閉症スペクトラム傾向の強い・弱いで作品の印象や視点に個人差が生じることがわかった。例えば,調査で使用した絵画は怪しげな視線のやり取りが描かれていたが,自閉症スペクトラム傾向が弱い人ほど,この視線のやり取りによる不穏な空気に悪い印象を受けるが,自閉症スペクトラム傾向が強い人ほど悪い印象を受けることはないことが推察された。
著者
西口 雄基 萩原 健斗 大江 朋子
出版者
一般社団法人 グローバルビジネス学会
雑誌
グローバルビジネスジャーナル (ISSN:24340111)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.21-29, 2022 (Released:2022-09-29)
参考文献数
33

生産年齢人口において自殺は主要な死因となっており,リスクの高い個人を発見して自殺を未然に防ぐ ことは倫理的な側面からも,経済的な側面からも,これからの経営において強く求められることである. 自殺したいという思考や自殺の具体的な計画を含む希死念慮は,自殺に最も密接に結びつくリスク要因の 一つである.その一方,日常的なネガティブ体験から「死にたい」という思考が連想される場合もある. 先行研究では死が連想されやすい傾向には個人差があることが示唆されており,さらにその個人差は決定 論的信念によって左右される可能性があるが,これを実証した研究は行われていない.そこで,本研究で は,ネガティブな思考や体験から死に関する思考が連想されてしまう傾向を計測する質問紙尺度である死 連想傾向尺度を開発した.さらに,縦断調査により,決定論的信念が3カ月後の死連想傾向の増加を予測 することが示された.本研究により,決定論的信念が死に関わる思考を増加させるリスク要因である可能 性が新たに示された.このような個人差の計測を行うことで早期に自殺リスクを発見し,ケアしていく方 法は企業や官公庁におけるメンタルヘルスの問題にも応用可能であると考えられる.
著者
篠原 千春 西口 雄基 石垣 琢麿
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.65-68, 2022-07-06 (Released:2022-07-06)
参考文献数
10
被引用文献数
1

During the novel coronavirus pandemic, people who defied the call for isolation and the government’s requirement for self-quarantine have encountered frequent condemnation. There was a prevailing acceptance of such bashing behavior. Given this context, this study focused on justice sensitivity as a key factor in the acceptance of bashing. Participants (N=1,000) read a short scenario that involved a person who goes out despite the self-quarantine requirement. The results showed a moderated mediation in which individuals with higher justice sensitivity showed a greater degree of anger, which in turn led to higher bashing acceptance when the scenario was judged as an injustice.