- 著者
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西坂 珠美
會田 宏
- 出版者
- 武庫川女子大学
- 雑誌
- 武庫川女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09163115)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, pp.149-157, 2007
本研究では,高等学校のクラブ活動における指導者の暴力行為の実態と暴力行為に対する選手の考え方を明らかにするために,高校時代にクラブ活動を行ってきた女子大学生226名を対象に,アンケート調査を行った.結果は以下の通りであった.(1)暴力行為をうけた経験がある選手は全体の28.8%おり,それは球技系のクラブに多い.(2)暴力行為をうけた経験のある選手のほうが経験のない選手に比べて競技レベルが高い.(3)試合出場の機会が増えるにつれ暴力をうける頻度が高くなる.(4)暴力行為の手段は,「パーでビンタ」が多く,その理由は,「プレーができていない」が多い.(5)選手は暴力行為をうけることに対して,「悔しいが自分が悪いから仕方がない」と考え,暴力行為をうけた結果,精神的にも技術的にも成長したと解釈し,指導者に対して感謝の念を抱く傾向がある.(6)暴力行為に対して,暴力をうけた経験のある選手は,「場合によっては必要」と考えている選手が多く,暴力行為をうけた経験のない選手は,「必要でない」と考えている選手が多い.(7)将来指導者になった時,暴力行為をうけた経験のある選手も暴力をうけた経験のない選手も,「規則を守らなかった時」に暴力行為を行う可能性が高い.