著者
団野 皓文 宮里 満 石黒 悦爾 西山 安夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.197-210, 1984-03-15

桜島の火山活動は1972年以来, 非常に活発になってきている.年間の爆発回数, 噴煙回数それに地震回数は驚くほど増加している.桜島からの多量の降灰は, 桜島周辺の農林産物に多大の被害を与えている.リモートセンシング技術を用いて, 圃場や森林への降灰の影響を測定した.筆者らは, 1977年より日本国土海洋総合学術診断(JAFSA)プロジェクトに参加し, 桜島の火山活動が記録されているMSSデータを解析した.1977年8月に観測したMSSデータを用いて, Ch.7に青, Ch.9に緑, Ch.11に赤を対応させたカラー合成写真を作成して, 桜島の溶岩台地の分布を明確に解析した, 降灰の影響を定量的に解析するため, 火山灰に覆われた樹木と野菜の葉面の分光反射率と, 火山灰に覆われていない樹木と野菜の葉面の分光反射率の変化を測定した.この結果を垂水地区における噴煙の流れが記録されている1977年10月のMSSデークの解析に用いた.CCTカウント比, すなわちCh.3/Ch.9,Ch.5/Ch.9とCh.7/Ch.9のディジタル演算で得られたカラー合成写真と, それに対応する濃淡マップの解析を行い, 垂水地区における圃場や森林に対する降灰の分布を明かにすることができた.一方, 火山灰の物理的性質は, 桜島火山の活動に関する多くの情報を与えるものと考えられる.火山灰中の天然放射性核種を, ゲルマニウム検出器と多重波高分析装置を用いて解析した.^<40>Kが最も多量に含まれる核種で, 火山灰中の^<40>Kの放射能は9.4〜12.0pCi/gであった.K_2Oの濃度と^<40>Kの放射能は, 最近しだいに増加していることが示された.
著者
西山 安夫 松尾 英輔 稲永 醇二 石黒 悦爾 宮里 満
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.251-258, 1990-03-15

ツルムラサキ, トウゴマ, ダイズ, ソラマメの乾燥種子を^<60>Co, γ線で照射した後, 砂箱または地床に播種して, それらの出芽および生育状況を調査した.ツルムラサキの'緑色種'と'紅色種', トウゴマおよびソラマメの出芽率は7.4kGy, 9.2kGy, 3.4kGyおよび0.2kGy以上の区ではいずれも0%となった.ツルムラサキの'緑色種'と'紅色種'およびダイズの生存率はそれぞれ0.5kGy, 0.4kGyと1.0kGy以上の区で0%となった.ダイズ'ひたしまめ'は0.5および0.7kGy区では出芽し, 生存し続けたが, 本葉の発生はみられなかった.本実験に用いた植物の茎長, 生体重はいずれも照射線量の増加につれて著しく小さくなる傾向がみられた.葉のモザイク症状はトウゴマ, ダイズ, ソラマメでは線量の増加とともに顕著に現れたが, ツルムラサキにはほとんど認められなかった.
著者
西山 安夫 松尾 英輔 石黒 悦爾 稲永 醇二 宮里 満 陳 介余
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.11-18, 1992-03-30

種子の出芽とその後の植物の生育に対する放射線照射の効果を明らかにするため, ダイコン, トロロアオイ, ワタ, キンレンカの乾燥種子に^<60>Coのγ線を照射し, 露地またはビニルハウス内の地床に播種した.ダイコン'聖護院'の出芽率, 出芽日数, 生存率は, 照射量0〜1.0kGyではほとんど影響を受けなかった.しかし, 3.4kGy以上では, 出芽率は著しく低下し, 出芽個体はすべて枯死した.線量0〜0.3kGyでは草丈, 生体重は影響を受けなかったが, それ以上の線量0.4〜1.0kGyでは線量の増加につれて小さくなった.奇形は主に葉の変形という形で現れ, しかもその程度は線量が大きいほど著しかった.トロロアオイは3.6kGy区まで出芽したが, このうち生き残ったのは0.4kGy区までであった.茎長や節数には照射の効果は認められず, 生存率, 着花率は線量の増加につれて小さくなった.これに対して, 分枝個体の割合や, 傷害の程度は線量の増加につれて大きくなった.ワタの出芽率は線量が増加するにつれて小さくなり, 7.4kGyで0%となった.1.0kGy以上の線量区の個体はすべて枯死した.生存個体のうち, 0.2kGy以上の区ではすべて芯止りとなり, 伸長生長が見られたのは対照区と0.1kGy区だけであった.キンレンカの出芽率は3.6kGy区で0%となり, それ以上では線量の増加につれて低くなった.1.0kGy区の出芽個体はすべて枯死した.照射によって, 第1本葉に白い斑点が生じ, その症状は線量がふえるほど著しくなった.0.3kGy以上の区では茎の頂端が塊状に変形する個体が生じ, その発生割合は線量が増加するとともに増加した.ワタ子葉の葉柄長とキンレンカ第1本葉の葉柄長は線量の増加につれて短くなった.