- 著者
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西山 直輝
室町 泰徳
- 出版者
- The City Planning Institute of Japan
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.3, pp.352-357, 2015
本研究では,首都圏鉄道を対象に,震災発生後における帰宅ODを,臨時ダイヤを基にした時空間ネットワークに配分することによって,駅構内の混雑により列車に乗車することができない駅滞留者数を推計した.また, 震災発生後における円滑な首都圏鉄道の運転再開に向けて,駅滞留者の過剰発生を抑制する方策,すなわち勤め先等で待機しつつ,駅滞留者が過剰に発生しない程度に少しずつ帰宅行動を開始する方策について検討を行った.その結果,首都圏鉄道が全線運転再開した場合において,鉄道利用者が一斉帰宅する場合に比べ,遂次帰宅する場合の方が駅滞留者数のピークが緩和されることが示された.また,遂次帰宅を行う場合において,一斉帰宅を行う場合と比較して,7割程度の鉄道利用者が乗車時刻を30分程度後ろの時間帯にシフトさせることにより,駅滞留者の過剰発生を抑制し,震災発生後における首都圏鉄道の円滑な運転再開にする寄与する可能性があることが示された.本研究で示した遂次帰宅ケースを何らかの形で実現できれば,駅滞留者を過剰発生させることなく,円滑に運転再開を行うことが可能となると考えられる.