著者
ウディン A. F. M. ジャマル 橋本 文雄 西本 慎一 清水 圭一 坂田 祐介
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.40-47, 2002-01-15
被引用文献数
2 9

開花前後の生育過程におけるトルコギキョウ[Eustoma grandiflorum (Raf.) Shinn.]花弁中のフラボノイド色素と花色変化について調査した.供試品種は, 'ブライダルバイオレット', 'あすかの朝', 'あずまの粧', 'ミッキーローズ'の4品種であり, 高速液体クロマトグラフによる色素分析から, 前二者はデルフィニジン主体型, 'あずまの粧'はペラルゴニジン主体型, 'ミッキーローズ'はシアニジン主体型であった.また, これらのアントシアニジンに加え, ペオニジンやマルビジンなどのメチル化アントシアニジンも含まれていることが明らかとなった.4栽培品種において, 花弁アントシアニンの生成は開花前に始まり, 開花後その総含量は増加していく傾向が認められ, 花弁フラボノール含量は, 開花前には最高値に達することが確認された.また, 開花日には, 開花前のアントシアニジン組成に加え, 他のアントシアニジンが新たに加わることが観察された.開花後は, アントシアニジンの比率はほぼ一定に留まり花色は変化しなかった.'ミッキーローズ'は, シアニジンを花弁中の優勢色素とする品種として確認された初めての例である.なお, 本研究に供試したトルコギキョウ品種では, 花弁フラボノイド色素間のコピグメント効果は発現していないものと推察された.