著者
宮本 学 西村 保一郎 鏡山 博行
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.199-204, 2005-06-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
8

大学をストレートに卒業すること, 医師国家試験に1回目の受験で合格することの2つを医学教育課程が順調であったことの判断の指標として, 大阪医科大学に平成3年から平成9年までに入学した715名について, 性別, 入学までの期間 (現役・高校卒業後1年以上経た者) に分けて, 医学教育課程の順調さを比較した. 医学教育課程が順調であった者の比率 (あるいは1回目で国家試験に合格した者の比率) は現役の方が高校卒業後1年以上経た者よりも高かった. さらに性別で見ると女性では現役・高校卒業後1年以上経た者の差がなかったが, 男性では現役の方が高校卒業後1年以上経た者よりも高い比率を示した. 次に, 入試の理科における生物学の選択群・非選択群の両群の間に医学教育課程の順調さに差があるかどうかを解析したが, 差はほとんど見られなかった. 生物学を入試科目として選択していなくても, 医学教育課程に支障はないという結論となった. ただし, 女性の現役に限定すると, 生物選択群の方が非選択群よりも医学教育課程がより順調であった.