著者
松田 光彦 坂田 隆造 伴 敏彦 曽根田 純一 西村 和修
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1109-1112, 1986-04-15 (Released:2011-10-07)
被引用文献数
1

セルセーバーを用いて行われた心臓手術症例において、これを用いなかった症例との間で、術前後のヘマトクリット値、血中蛋白の変動について検討した。セルセーバー使用群では、時に術直後、ヘマトクリットが異常に高値をとったり、蛋白の改善が非常に遅い症例がみられた。特に、術後1日目のヘマトクリットが、セルセーバー使用群で高く、蛋白、特にグロブリンに低い値がみられ、これは術後の回復、感染に問題があると思われた。セルセーバーを心臓手術の症例全部に使用するには問題があり、使用する場合には一手術例あたりの使用回数(即ち、処理後の再利用血液量)に限界があると考えられる。
著者
西村 和修 河野 智 仁科 健 松田 捷彦 築谷 朋典 赤松 映明 野尻 知里 木島 利彦
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.313-318, 1998-04-15
参考文献数
15
被引用文献数
5

我々は長期使用を目的とした磁気浮上型遠心ポンプ(MSCP)を開発し, ポンプ性能の改良と共に小型化を図った. 埋め込み型MSCPのサイズは径82mm, 厚さ51mmで重量は4209と従来型(86×80mm, 700g)に比べかなり小型化され, 消費電力も15W程度へと半減した. これまでに京都大学医学部で羊(体重54-70kg)を用いた動物実験を3頭に実施した. 脱血は左室心尖, 送血部位は下行大動脈とした. 2例ではポンプを体外設置とし, 最近の1例に筋膜下胸壁外に植え込んだ. ポンプ流量は3.5-6.51/min, 遊離ヘモグロビンは全例で25mg/dl以下であった. ポンプ持続日数は60, 140, 80日以上(運転中)であった. 運転中止理由は1例目が感染および管路血栓, 2例目は突然の浮上停止であった. ポンプ内の血栓は認めなかった. 埋込み中のポンプ表面温度は42度前後で5mm離れた筋肉組織で2, 3度低い値であった. 以上より本ポンプは埋め込みに適した補助心臓として期待できる.