著者
西村 龍夫 寺口 正之 尾崎 由和 原田 佳明 松下 享
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.508-515, 2022-12-20 (Released:2022-12-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1

目的:小児科外来を受診する母親に,離乳食での食物アレルギー(以下,FA)への不安と,それを増強する因子がないかについて調査を行った.方法:2020年3月から4月までの2か月間,後期乳児健診を目的に受診した乳児の母親を対象とし,離乳食でFA症状を経験したかを聞き,リッカートスケールを用いてその不安をどのように感じているのかのアンケート調査を行った.さらに,食物アレルギーと誤嚥,食中毒への不安を比較した.結果:36施設から533件の調査票を回収した.過去にFAの症状が出たことがあると答えたのは16.4%であった.FA症状の大部分は軽症であったが,部分的なじんましん症状でも不安スケールは有意に上昇し,食物制限も多かった(P<0.01).不安スケールは誤嚥がもっとも高く,続いて食中毒で,FAがもっとも低かった.結論:多くの母親のFAへの不安は高くなかったが,FA症状の経験は軽症でも離乳食への不安の上昇と制限につながっている.
著者
河村 祐治 西村 龍夫
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

流路壁が正弦波状をなす波状流路内に生じる2次流れ及び物質移動特性におよぼす影響について実験的な検討を行った.1.2次流れは遠心力の不安定性よって形成ささるTaylor-Goertler渦であり, 幾何形状パラメータ(振幅・波長)にかかわらず, 流路間隔が壁面振幅の2倍以下では必ず発生することがわかった. したがって従来ほとんど問題とされなかった2次流れは, 流れのはく離と同様, 波状流路における流れの性質の一つとみなされる. また, 特殊な流動パラメータを用いることによって波状流路内の流れの不安定性を表す中立安定曲線を得た.2.波状流路内に生じるTaylor-Goertler渦は曲率の方向が周期的に変化するため, 曲率一定の長方形曲りダクトとは異なり, 上・下壁面に渦を生じる. その配列は2つあり, 一つはどちらか一方の壁面だけに渦が形成される安定型と, 上・下壁面に同位相で形成される不安定型である. 特に後者の配列が渦の崩壊をみちびき, 乱流遷移を促進させることが明らかとなった.3.2次流れの発生は局面からの物質移動速度を増進させる. 特に2次流れの特質によって流れが一波長毎に更新されるため, 物質移動の助走区間が短くなることが, その原因の一つであることが明らかとなった.