著者
飯島 朋子 小林 宙 西沢 啓 山崎 宏二
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.201-207, 2017-07-05 (Released:2017-07-05)
参考文献数
24

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では,独自に開発した航空機用電動推進システム技術を飛行実証するため,FEATHER(Flight demonstration of Electric Aircraft Technology for Harmonized Ecological Revolution)と呼称する研究事業を2012年~2015年にかけて実施した.当研究事業を実施するにあたり,国土交通省航空局から電動航空機の試験飛行許可取得が必須であるが,電動航空機の耐空性基準が存在しなかった.そこで航空局との調整の下,電動推進システムを動力滑空機に搭載するためのJAR(Joint Aviation Requirement)-22のガイドライン・CS(Certification Specification)-22の特別要件と現行の耐空性審査項目から,本件が準拠すべき安全性基準の選定と修正を行い,基準への適合性を保証するための推進システム設計及び試験等による各種証明に取り組んだ.本稿では実証試験機や飛行場の選定も含め,各種システムの適合性証明に至るまでの電動航空機の試験飛行許可取得プロセスについて,ノウハウを国内で共有する観点で概説した.