著者
西澤 信一郎 中川 裕志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.56, pp.89-95, 1996-05-28
参考文献数
7
被引用文献数
2

本稿では,日本語の会話中において,発話間の因果関係がどのような形式で記述されているのか,をコーパスを用いて検討した結果について述べる.このような談話構造は,発話者の「思考の流れ」を示しているものと考えられ,発話者は,地図課題対話など目的の定まった会話の場合はもちろんのこと,雑談など特定の目的に左右されない自由会話の場合でも,この構造をある程度認識し,協調的な会話を進めているものと考えられる.そこで,本稿では,地図課題など目的の定まった会話からなるコーパスではなく,飲み会の席上での会話データを対象とした自由課題コーパスを用いた検討を行なった.また,この検討結果を利用し,因果関係を記述するような談話構造をコーパス中から取り出すために必要な手順について提案した.We discuss here how a discourse structure representing a causality relation among two or more sentences is described in Japanese task-free dialogue. The structure, we think, shows "the stream of consideration" of a speaker. We argue that the speaker recognizes the structure and have a conversation cooperatively even in the case of task-free dialogue. Then, we discuss the causality relation with a corpus of Japanese task-free dialogue and show how to find out discourse structures for the relation from the corpus systematically.
著者
西澤 信一郎 中川 裕志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.41-42, 1996-03-06

一般に,談話には構造があるといわれている[Hob90].これは発話者の「思考の流れ」を示していると考えられ,発話者は,地図課題対話など目的の定まった会話の場合はもちろんのこと,雑談など特定の目的に左右されない自由会話の場合でも,この構造をある程度認識し,協調的な会話を進めているものと考えられる.そのため,会話の持つ文脈情報の獲得,さらには人間同士の会話への計算機システムの参加,などを考える際には,談話の持つ構造の獲得や理解が必要となると考えられる.本稿では.飲み会の席上での会話データを用いて,接続助詞「から」や接続詞「だから」「だって」などで表される因果関係のもつ発話間の構造について考察する.