著者
赤川 玄樹 小野 富士恵 柏 健一郎 木村 康宏 七尾 大観 藤本 潤一 西澤 英雄
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.328-332, 2016-05-01 (Released:2016-05-02)
参考文献数
20
被引用文献数
1

症例は17歳,女性。意識障害を主訴に当院受診。てんかん重積状態(status epilepticus, SE)の診断で入院となり,第2病日に呼吸管理目的にてICU入室となった。SEの原因は入院中の精査で全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)と判明した。原疾患の治療を行いつつ,SEのコントロール目的に抗痙攣薬を開始したがコントロールがつかず,静脈麻酔薬による全身麻酔療法を開始した。それでもSEのコントロールに難渋したため,第10病日より吸入麻酔薬のイソフルランを併用した。その使用期間は38日間に及んだが,経過中イソフルランの使用に伴う重篤な合併症はみられず,比較的長期間安全に管理することができた。静脈麻酔薬による全身麻酔療法でSEのコントロールに難渋する場合には,吸入麻酔薬を併用することも選択肢の一つと考えられた。
著者
金子 尚樹 西澤 英雄 藤本 潤一 七尾 大観 木村 康宏 大和田 玄 森村 太一
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.271-274, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
8

低カリウム血症では近位尿細管でのアンモニア産生が増加するため,肝性脳症患者では高アンモニア血症の増悪因子となり得る。ただし,肝不全や門脈体循環シャントがないにもかかわらず低カリウム血症により高アンモニア血症をきたした報告例は非常にまれである。本症例は77歳の脂肪肝患者で,常用薬であった芍薬甘草湯の偽性アルドステロン症による低カリウム血症と,意識障害を伴う高アンモニア血症を認めたが,血清カリウム値の上昇に伴い高アンモニア血症と意識障害も改善した。①低カリウム血症による近位尿細管でのアンモニア産生増加や,②アルカローシスによるアンモニアの血中への移行増加,③慢性低カリウム血症による尿素合成能低下や④脂肪肝による尿素合成能低下によって高アンモニア血症をきたしたと考えられた。したがって,肝機能障害の程度にかかわらず,低カリウム血症と意識障害を認めた際は高アンモニア血症を鑑別する必要がある。