著者
西田 禎元 Tadayuki Nishida
出版者
創価大学アジア研究所
雑誌
創大アジア研究 (ISSN:03887030)
巻号頁・発行日
no.12, pp.75-86, 1991-03-01

『源氏物語』の作者として名高い紫式部は、中国の史書や詩文に造詣の深い女性であった。長篇『源氏物語』には、『史記』や『白氏文集』から引いた文句や、それらをふまえた表現が、ここかしこに見られる。そうした中で、女性である作者は、中国史上(漢代から唐代)のヒロインたちに、特に興味関心を示しているようである。そのヒロインたちは、漢代の戚夫人、李夫人、王昭君、それに唐代の揚貴妃などであった。作者は、皇帝とのかかわりにあった后妃や宮女における運命の悲劇を、物語の構想や主題にからませている。王昭君と楊貴妃は、中国四大美人
著者
西田 禎元
出版者
創価大学アジア研究所
雑誌
創大アジア研究 (ISSN:03887030)
巻号頁・発行日
no.12, pp.75-86, 1991-03-01

『源氏物語』の作者として名高い紫式部は、中国の史書や詩文に造詣の深い女性であった。長篇『源氏物語』には、『史記』や『白氏文集』から引いた文句や、それらをふまえた表現が、ここかしこに見られる。そうした中で、女性である作者は、中国史上(漢代から唐代)のヒロインたちに、特に興味関心を示しているようである。そのヒロインたちは、漢代の戚夫人、李夫人、王昭君、それに唐代の揚貴妃などであった。作者は、皇帝とのかかわりにあった后妃や宮女における運命の悲劇を、物語の構想や主題にからませている。王昭君と楊貴妃は、中国四大美人