著者
桜田 一郎 坂口 康義 大隅 行彦 西野 潤
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.19, no.210, pp.620-626, 1962-10-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

アクリル酸を種々のpH値とモノマー濃度をもつ水溶液中で,(NH4) 2S2O8を開始剤に用いて50℃ で重合させた。得られたポリアクリル酸は電圧滴定挙動および溶解性が相互にかなり異なる。これらの結果は主としてこれらのポリマーの立体的形態の差異に基くものと考えられる。pH7付近の低モノマー濃度の水溶液中で重合されたポリアクリル酸は, よりシンジオタクチックであると考えられる。
著者
北浦 達朗 久後 行平 西野 潤
出版者
The Japan Society of Polymer Processing
雑誌
成形加工 (ISSN:09154027)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.134-142, 1993-02-20 (Released:2009-11-18)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

溶融混練したビスフェノールAポリカーボネート(PC)/ポリエチレンテレフタレート(PET)ブレンドのモルフォロジーを,フーリエ変換赤外全反射分光法(FTIR ATR),顕微鏡フーリエ変換赤外分光法(顕微FTIR)および走査透過型電子顕微鏡(STEM)により解析した.FTIR ATRと顕微FTIR測定の結果,PCとPETに基づくカルボニル吸収ピーク位置は,PET組成の約20~50wt%で変化した.すなわち,相分離構造のドメインサイズが,PC/PETブレンドフィルムの断面の深さに依存して変化することが示唆された.また,STEM観察の結果からも,ドメインサイズがブレンドフィルム断面の内部から表面に近づくに従って小さくなり,表面近傍では逆に大きくなる傾向が認められた.またPETが50wt%以下の組成で,相分離構造の反転や相構造の乱れが観察された.STEMにより観察されたこれらの相分離構造は,FTIR ATRおよび顕微FTIR測定の結果から予想されたモルフォロジーと一致した.