著者
角 大輝 佐藤 譲
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

複素多様体上の正則写像のなす半群の力学系と、正則写像の族によるランダム力学系の両者の理論を、互いに交錯させながら基礎から構築し、出来上がった理論を純粋数学にとどまらず非線形物理学や数理生物学などの他分野へ思想的・哲学的に訴えかけた。ランダム力学系におけるカオスと秩序の間のグラデーションなど、新しい世界観を提供した。具体的には、「協調原理」により大概のランダム複素多項式力学系において通常の複素力学系よりカオス性が弱まり、秩序性が生まれることを発見し、カオス性が弱まった中にもカオスと秩序の間のグラデ―ションが存在していることを発見して、マルチフラクタル解析などを用いて研究を深化させている。
著者
小木曽 啓示 今野 一宏 後藤 竜司 高橋 篤史 角 大輝 藤木 明 臼井 三平 川口 周
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

複素力学系及び双有理幾何学の融合により, 双方の未解決問題に貢献すること, 関係する新しい現象の発見が本研究の主目的である. 成果として, 正のエントロピーをもちかつ原始的正則自己同型を許容する3次元有理多様体, カラビ・ヤウ多様体の存在問題の肯定的解決, Wehler型と呼ばれる任意次元のカラビ・ヤウ多様体に対するKawamata-Morrison錐予想の完全解決, Ueno-Campaana問題の肯定的解決, Gizatullin問題の否定的解決, 正標数の代数幾何への複素力学系の応用などを得た. また, 成果が高く評価され, 2014年の国際数学者会議の招待講演者に選定された.