著者
角坂 育英
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 = Chiba medical journal (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.357-365, 1984-12-01

肺原発扁平上皮癌患者45例に対して,bleomycin (BLM)とmitomycin-C (MMC)併用療法(以下B-M療法)を施行し,抗腫瘍効果,延命効果を評価し,さらに放射線治療との合併療法についても検討を加えた。B-M療法はBLM 5mgを7日間連日点滴静注したのちMMC 0.2mg/kgを一回静注し,これを1コースとする。このあと1週間の休薬期間ののち同じコースをくり返し2コース以上行なうことを原則とした。放射線治療との合併療法は45例中35例について行なったが,ここではB-M療法,放射線治療の抗腫瘍効果を各々求めたあと全体としての評価を併せて行なった。また対象を4群に分けて抗腫瘍効果および延命効果を評価した。第1群はB-M療法のみ施行,第2群はB-M療法後に放射線治療を施行,第3群は放射線治療後にB-M療法を施行,第4群はB-M療法と放射線治療を同時に施行した症例である。全体としての奏効率は第1群20.0%,第2群46.2%,第3群50.0%,第4群50.0%であり,B-M療法のみを第1群,第2群から評価すると奏効率は13.0%であった。生存期間はB-M療法,放射線治療いずれか先行した治療開始日より算定した。中間生存期間を4群について検討した結果は第1群18.4過,第2群37.7週,第3群34.7週,第4群44.3週であり,抗腫瘍効果,延命効果ともに第4群で良好な成績が得られた。副作用ではBLM肺臓炎が6例にみられ,うち3例が治療にもかかわらず死因となり,B-M療法施行のうえで最も重篤な副作用となった。