著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.627-635, 2005
被引用文献数
9

【目的】スギ花粉症が労働生産性に与える影響についてpilot studyを行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に, 大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において労働生産性に関する質問紙調査を行い, 有効回答の得られた就労者512名を分析対象とした.【結果】損失労働時間は過去1週間の状況を調査したが, 約9割が0時間と回答した.生産性低下の程度はVASを用いて計測し, 通常期の3/4程度に低下していると回答した症例が約半数を占めた.労働生産性指標への寄与因子を多変量ロジスティック回帰にて検討したところ, 罹病期間が短期間の例, 眼の痒みが重症な例では, 労働時間の損失が生じるリスクが高くなることが判明した.また, 身体面または精神面でのQOLが低下している例, 花粉症対策用具を使用している例では, 生産性の低下を感じる可能性が高いことが明らかとなった.【結語】花粉症による労働損失を削減するためには, 鼻症状ばかりでなく眼症状の改善にも注意をはらい, QOLの早期改善をはかることが重要だと思われた.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.627-635, 2005-07-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
7

【目的】スギ花粉症が労働生産性に与える影響についてpilot studyを行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に, 大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において労働生産性に関する質問紙調査を行い, 有効回答の得られた就労者512名を分析対象とした.【結果】損失労働時間は過去1週間の状況を調査したが, 約9割が0時間と回答した.生産性低下の程度はVASを用いて計測し, 通常期の3/4程度に低下していると回答した症例が約半数を占めた.労働生産性指標への寄与因子を多変量ロジスティック回帰にて検討したところ, 罹病期間が短期間の例, 眼の痒みが重症な例では, 労働時間の損失が生じるリスクが高くなることが判明した.また, 身体面または精神面でのQOLが低下している例, 花粉症対策用具を使用している例では, 生産性の低下を感じる可能性が高いことが明らかとなった.【結語】花粉症による労働損失を削減するためには, 鼻症状ばかりでなく眼症状の改善にも注意をはらい, QOLの早期改善をはかることが重要だと思われた.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.627-635, 2005
参考文献数
20
被引用文献数
9

【目的】スギ花粉症が労働生産性に与える影響についてpilot studyを行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に, 大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において労働生産性に関する質問紙調査を行い, 有効回答の得られた就労者512名を分析対象とした.【結果】損失労働時間は過去1週間の状況を調査したが, 約9割が0時間と回答した.生産性低下の程度はVASを用いて計測し, 通常期の3/4程度に低下していると回答した症例が約半数を占めた.労働生産性指標への寄与因子を多変量ロジスティック回帰にて検討したところ, 罹病期間が短期間の例, 眼の痒みが重症な例では, 労働時間の損失が生じるリスクが高くなることが判明した.また, 身体面または精神面でのQOLが低下している例, 花粉症対策用具を使用している例では, 生産性の低下を感じる可能性が高いことが明らかとなった.【結語】花粉症による労働損失を削減するためには, 鼻症状ばかりでなく眼症状の改善にも注意をはらい, QOLの早期改善をはかることが重要だと思われた.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 嶽 良博 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.669-675, 2004
被引用文献数
5

大阪・和歌山において,2003年のスギ花粉飛散のピークと想定された2月24日から3月8日の期間に,16施設の耳鼻咽喉科外来を受診したスギ花粉症患者に対し,初期療法に関するアンケート調査を行った.そのうち,初期療法を受けていた501名のデータから,服薬状況が初期療法の有効性に与える影響を検討した.前年の症状と比べた2003年度の全般的な患者の評価を4段階で判定したところ,服薬率が高い患者群ほど,昨年より症状が軽いとする症例が有意に多かった.また,鼻汁および鼻閉の重症度も軽症化する傾向にあった.服薬率が初期療法の効果に大きく影響することが確認されたことから,服薬率を50%以上,50%未満の2値に分類し,その寄与因子を多変量ロジスティック回帰にて検討した.その結果,学生であること,目薬などのOTC薬の使用者および初期療法が短期間の例では服薬率が50%未満となるリスクが高くなることが判明した.なお,単変量ロジスティック回帰では薬剤費の上昇が高服薬率の要因であった.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.554-565, 2006

【目的】第2世代抗ヒスタミン薬7剤について,スギ花粉症に対する初期療法の有効性ならびにcost qualityの比較を行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において初期療法に関するアンケート調査を行った.【結果】単剤療法を受けていた症例は,アゼラスチン15例,セチリジン15例,エバスチン36例,エピナスチン16例,フェキソフェナジン16例,ロラタジン群60例,オキサトミド群17例であった.無治療群510例を対照群とし,比較を行ったところ,全般症状改善度,くしゃみ,鼻汁および眼の痒みの程度に8群間で有意差が認められた.一方,7薬剤間に有意な有効性の差は認められなかった.各薬剤について「有効例1例を得るために必要な薬剤費」を算出したところ,cost qualityに優れる上位3剤は,アゼラスチン,ロラタジン,フェキソフェナジンであった.【結語】第2世代抗ヒスタミン薬7剤の有効性に明らかな差はなく,そのcost qualityには薬価が大きく関連していた.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.554-565, 2006-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
32

【目的】第2世代抗ヒスタミン薬7剤について,スギ花粉症に対する初期療法の有効性ならびにcost qualityの比較を行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において初期療法に関するアンケート調査を行った.【結果】単剤療法を受けていた症例は,アゼラスチン15例,セチリジン15例,エバスチン36例,エピナスチン16例,フェキソフェナジン16例,ロラタジン群60例,オキサトミド群17例であった.無治療群510例を対照群とし,比較を行ったところ,全般症状改善度,くしゃみ,鼻汁および眼の痒みの程度に8群間で有意差が認められた.一方,7薬剤間に有意な有効性の差は認められなかった.各薬剤について「有効例1例を得るために必要な薬剤費」を算出したところ,cost qualityに優れる上位3剤は,アゼラスチン,ロラタジン,フェキソフェナジンであった.【結語】第2世代抗ヒスタミン薬7剤の有効性に明らかな差はなく,そのcost qualityには薬価が大きく関連していた.