- 著者
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舟越 光彦
田村 昭彦
垰田 和史
角銅 しおり
鍛冶 修
鮫島 健二
- 出版者
- 一般社団法人 日本アレルギー学会
- 雑誌
- アレルギー (ISSN:00214884)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.11, pp.1123-1130, 2004
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
-
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米国胸部疾患学会は, 成人喘息の約15%は職業性であるとの声明を2002年に発表し, 職業喘息の対策の重要性を強調した. しかし, 我が国では一般集団を対象に気管支喘息における作業要因の人口寄与危険度を求めた疫学研究は殆どなく, 気管支喘息に占める作業関連喘息の割合は未解明である. 気管支喘息における作業要因の人口寄与危険度を求めることは効果的な予防対策をすすめるために重要な課題なので, 気管支喘息で外来通院中の患者を対象とし, 成人喘息における作業要因の人口寄与危険度をNIOSHのクライテリアを用いて求めた. また, 作業関連喘息症例の特徴について検討した. その結果, 気管支喘息における作業要因の人口寄与危険度は22.7%で欧米の報告と大差なく, 我が国でも欧米と同程度の作業関連喘息の罹患があることが示唆されると考えられた. probable OAは5名で, 害虫駆除業, 生花販売業, 美容師, ペットサロン業だった. 2名(40%)は喘息のため転職しており, 作業関連喘息が就労の継続に与える影響の大きさが示唆された. 4名(80%)が離職した後も気管支喘息が持続しており, 作業関連喘息の予防の重要性が示された.