著者
中塚 武 佐野 雅規 許 晨曦
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

日本とアジアにおいて、樹木年輪やその酸素同位体比を用いて、近年、急速に進んできた過去2千年間の年単位での古気候(気温と降水量)の復元研究の成果を元に、これまでの日本の古文書・古日記等にもとづく古気候復元研究の蓄積を再評価し、日本の歴史時代の気候変動を、気候学的・歴史学的に概観する。具体的には、江戸時代における古文書記録から復元された総観気候場と樹木年輪酸素同位体比の広域時空間データが、夏季モンスーンの動態を良く説明できることや、弥生時代以来の日本の飢饉や反乱・内乱が、気温や降水量の数十年周期変動に伴って起きていることなどを明らかにすると共に、今後の研究課題を議論したい。