著者
谷 佳成恵 津田 彰 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.87-94, 2023 (Released:2023-11-10)
参考文献数
32

本研究では第1 の目的として,住宅型有料老人ホームに入居する高齢者33名を対象として,下肢筋力と歩行速度との間の関連性を検討した。第2 の目的として,対象集団の下肢筋力の強度の違い(弱・平均・強)が,下肢筋力と歩行速度との間の関連性へ及ぼす影響を検討した。下肢筋力は30秒椅子立ち上がりテスト(30-sec Chair-Stand test; CS-30)によって測定した。歩行パラメータは歩行速度,歩行率,ストライド長,歩幅,歩隔,つま先角,歩行角,立脚時間,両脚支持時間,遊脚時間を測定した。3群間の比較の結果,下肢筋力,歩行速度,歩行率,ストライド長,歩幅,歩隔,歩行角,立脚時間,両脚支持時間に有意差を認めた。各群におけるSpearman の順位相関分析の結果,弱群のみ下肢筋力と歩行速度との間に有意な正の相関を認めた。下肢筋力の低下に伴い歩行速度が遅くなること,下肢筋力の強度の違いによって,下肢筋力と歩行速度との間の関連性は異なることが示唆された。