著者
岩元 英輔 村瀬 健太郎 谷之口 真知子 本石 希美
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.176-185, 2013 (Released:2014-04-23)
参考文献数
15

【目的】通常治療・ケアに併用した異なる鍼通電療法 (Electroacupuncture: EA) の刺激部位が、 褥瘡の臨床評価に与える影響を検討したので報告する。 【方法】対象は骨盤部分の褥瘡を発生した患者 56 名を、 通常治療・ケアのみ行う対照群 (n=19)、 通常治療・ケアに褥瘡周囲への EA を併用する局所 EA 群 (n=19)、 通常治療・ケアに両側の委中穴 (BL 40)・承山穴 (BL 57) の EA を併用する遠隔 EA 群 (n=18) の 3 群間に封筒法にて無作為に割付けた。 通常治療・ケアの方法は褥瘡予防・管理ガイドラインに準拠した方法で行った。 局所 EA の方法は、 創部周囲の正常皮膚部位に 10 mm から 30 mm の深さで刺入し、 通電刺激の波形は双極性パルス波、 周波数 3 Hz、 刺激時間 10 分間を週 5 日行った。 遠隔 EA の方法は、 委中穴と承山穴に約 10 mm 刺入し、 局所 EA と同様の通電刺激を行った。 評価は DESIGN-R と創サイズを、 割付け結果を把握しえない看護師が開始時から 6 週後まで行った。 【結果】DESIGN-R と創サイズの実測値は 3 群間に有意差を認めなかった。 開始時を 100%とした変化率で比較した結果、 DESIGN-R 変化率は、 4 週後以降に対照群に比べ局所 EA 群に有意な低値を認めた (P 【結論】通常治療・ケアに併用した創部周囲への EA は、 褥瘡の早期改善に有用な方法であることが示唆された。