著者
谷口 敏淳
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.247-257, 2012-09-30 (Released:2019-04-06)
参考文献数
19
被引用文献数
1

自己臭恐怖症とは、自分は悪臭を放っているという思考から生じる、対人恐怖の一病型とされる。しかし、DSMやICDにおいて明確に分類されておらず、認知行動療法による症例報告もわずかである。本研究の目的は、自己臭恐怖症により社会参加が困難であった男性に対して行った認知行動療法の治療過程より、その効果を検討することであった。アセスメントの結果、さまざまな外的刺激に対して"自分は臭っている"と解釈する一貫した認知と、社会的状況への回避行動により、不適応状態が形成されていると考えられた。そこから、症状の低減と社会適応を目標に、標準的な認知再構成法に加え、認知変容および回避行動への対処に向けた複数の行動実験、対人場面を想定したSSTなどを行った。その結果、全16回の介入により、症状の低減と社会活動の広がりを認めた。本例より、自己臭恐怖症への介入における認知行動療法の有効性が示唆された。
著者
竹田 伸也 田治米 佳世 酒田 葉子 谷口 敏淳 西尾 まり子 高田 知子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.205-212, 2010-09-30 (Released:2019-04-06)

アルツハイマー病(Alzheimer'sdisease:AD)患者の主観的な記憶障害の訴えのほかに、情緒面や意欲面についても評価できる認知症情緒活動性評価尺度(EmotionandActivityScaleforDementia:EASD)を作成し、信頼性と妥当性について検討した。対象は、AD群61人と健常群62人の計123人であり、両群とも65歳以上を対象とした。因子分析の結果、感情変調、活動性減退、記憶低下の3因子計18項目が抽出された。Cronbachのα係数は尺度全体で91、感情変調で.89、活動性減退で.85、記憶低下で.86、CDRとの相関係数は.70であった。また、AD群と健常群のEASD得点の比較では、総得点および下位尺度得点とも、AD群のほうが有意に高かった。以上より、EASDは軽度AD例の情緒や意欲の問題をとらえる際に有用な尺度であり、認知機能の評価と併せて用いることで軽度ADに対する介入効果を多面的に評価することが可能になると思われる。
著者
竹田 伸也 田治米 佳世 酒田 葉子 谷口 敏淳 西尾 まり子 高田 知子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.205-212, 2010

アルツハイマー病(Alzheimer'sdisease:AD)患者の主観的な記憶障害の訴えのほかに、情緒面や意欲面についても評価できる認知症情緒活動性評価尺度(EmotionandActivityScaleforDementia:EASD)を作成し、信頼性と妥当性について検討した。対象は、AD群61人と健常群62人の計123人であり、両群とも65歳以上を対象とした。因子分析の結果、感情変調、活動性減退、記憶低下の3因子計18項目が抽出された。Cronbachのα係数は尺度全体で91、感情変調で.89、活動性減退で.85、記憶低下で.86、CDRとの相関係数は.70であった。また、AD群と健常群のEASD得点の比較では、総得点および下位尺度得点とも、AD群のほうが有意に高かった。以上より、EASDは軽度AD例の情緒や意欲の問題をとらえる際に有用な尺度であり、認知機能の評価と併せて用いることで軽度ADに対する介入効果を多面的に評価することが可能になると思われる。