著者
飯田 尚哉 谷口 圭吾 渡邉 耕太 宮本 浩樹 谷口 達也 藤宮 峯子 片寄 正樹
出版者
日本基礎理学療法学会
雑誌
日本基礎理学療法学雑誌 (ISSN:21860742)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.88-94, 2018-12-18 (Released:2019-01-08)

Although shear wave elastography (SWE) has been used to indirectly measure passive force in muscle tissues, it is unknown whether SWE can be utilized to evaluate passive force in capsule tissues. This study investigated the relationship between the shear elastic modulus and passive force in posteroinferior shoulder capsules using SWE. Six posteroinferior shoulder capsules were dissected from six fresh-frozen cadavers; then, humeral head–capsule–glenoid specimens were created from each capsule. The humeral head and glenoid were each immobilized with clamps of a custom-built device. Passive force (0-400 g in 25 g increments) was applied to each capsule via a pulley system, and elasticity was measured simultaneously using SWE. Our data revealed that the relationship between the shear elastic modulus and passive capsule force was highly linear for all six tested capsules (p < 0.01). The mean (± standard deviation) coefficient of determination was 0.933 (±0.030; range 0.883 and 0.963). Our study demonstrated that SWE is a valid and useful method for indirectly and noninvasively evaluating the passive force of the posteroinferior shoulder capsule.
著者
小野寺 智亮 梅田 健太郎 菅原 亮太 谷口 達也 瀬戸川 美香 村田 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0277, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに】大腿骨近位部骨折の機能予後に影響する因子は,諸家により年齢,受傷前移動能力,認知機能,大腿四頭筋筋力などがあると報告されている。骨折の機能予後には,骨折型や術後整復位が影響することが多いが,大腿骨近位部骨折においてその報告は少ない。大腿骨近位部骨折における機能を大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折で比較した研究は散見され,大腿骨転子部骨折の方が機能低下しやすいとの報告(kristensen,川端)が多い。しかし,大腿骨転子部骨折は大腿骨頚部骨折とは病態が異なり,骨膜や股関節周囲筋群付着部を含む骨折であることや術式が異なることから,これは当然の結果であると考えられる。今後は大腿骨転子部骨折での骨折型ごとの検討が重要と考えるが,大腿骨転子部骨折での詳細な骨折型を比較した報告はほとんどない。また,従来行われてきたX線画像による大腿骨転子部骨折の骨折分類(evans分類,jensen分類)では読影のミスマッチが報告されている。近年では中野(2006)により,3D-CTを利用した中野3D-CT分類が提唱され,前述したX線画像による分類よりもその有効性が報告されている(正田,2014)。今回,大腿骨転子部骨折について中野3D-CT分類を用いて骨折型を分類し,各骨折型の術後早期移動能力について比較検討したので報告する。【方法】2013年4月~2014年6月までに当院で骨接合術が施行された大腿骨転子部骨折239例のうち,下記の除外基準に該当しない59例(平均81.5±8.2歳,男性15名,女性44名)を対象とした。除外基準は,受傷前の移動が自立していない者,入院時HDS-Rが21点未満の者,重篤な合併症を有する者,術後荷重制限のある者,当院入院期間中に歩行器歩行獲得に至らなかった者とした。なお,全例で髄内釘による骨接合術が施行されていた。中野3D-CT分類による骨折型は主治医を含む当センターの医師数名で分類を行なった。中野(2006)は小転子骨片の有無が安定性に影響すると報告しており,それに準じて安定型と不安定型に分けた。移動能力獲得の基準については,起立はつかまり立ち,平行棒内歩行は2往復,歩行器歩行は20Mとして各動作が監視となった日を獲得日とし,当センターの理学療法士2名以上で判断した。各移動能力獲得日について,まず各骨折型間で比較検討し,さらに安定型・不安定型にわけた2群間での比較検討を行なった。統計学的手法としてKruskal-Wallis検定,welch検定を用い,有意水準は5%とした。【結果】対象者の骨折型の内訳は2partA:13例,3partA:14例,3partB:12例,4part:20例であり,安定型(2partA,3partA):27例と不安定型(3partB,4part):32例に分けられた。各骨折型において,年齢,移動能力に有意差は認めなかった。安定性での比較では,歩行器歩行獲得日数は安定型が11.0±6.0日,不安定型が14.6±7.9日であり,安定型の歩行獲得が有意に早かった(p<0.05)。その他の移動能力について有意差は認めなかった。【考察】大腿骨転子部骨折での安定性での比較では不安定型で予後不良とする報告(stark,1992)と有意差はないとする報告がある(武田,2006)。これらはX線画像上での分類であり,前述したとおり信頼性には疑念が残る。また,福田(2013)は大腿骨転子部骨折では術後整復位の重要性を報告し,その分類であるAP3×ML3分類で,正面像で外方型・側面像で髄内型が予後不良とした。当院ではそれに基づき,術中に外方・髄内型は必ず整復されており,術後整復位で差はない。よって今研究では信頼性の高い中野3D-CT分類を用い骨折型のみで検討したところ,安定性で術後歩行器歩行器獲得に有意差が認められた。これについては,荷重時痛と筋力が関係していると考えられる。歩行器歩行は,起立・平行棒内歩行よりも患側股関節に多くの荷重がかかる。不安定型では,荷重のかかる内側皮質の破綻が大きいことから,荷重時痛が強い可能性がある。また,川端(2014)は杖歩行の獲得には股関節外転筋力が重要であると報告し,甘利(2012)は,大腿骨転子部骨折における大転子骨折の形態に着目し,中殿筋機能の破綻が機能予後に影響を与えると報告している。4partなどの不安定型では,大転子部の骨折を含んでおり,同部位に付着する中殿筋が筋力低下をきたしている可能性がある。今研究では,疼痛と筋力についての検討に至っておらず,今回の結果を第一報として,今後は筋力や疼痛などの因子を含めた多変量解析を実施していくことで,大腿骨転子部骨折における予後規定因子を明確にしていけると考える。【理学療法学研究としての意義】信頼性のある中野3D-CT分類での大腿骨転子部骨折の骨折型は機能予後に影響する有用な因子であることが示唆された。