著者
谷岡 仁
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.167-177, 2016 (Released:2017-02-07)
参考文献数
24
被引用文献数
3

コテングコウモリMurina ussuriensisのねぐら利用が確認されている麻製の模擬枯葉を,2015年4月下旬から2015年11月下旬にかけて四国剣山山地の森林内に設置して利用状況を調査した.模擬枯葉は,林床近く(低位置)と樹冠部近く(高位置)に複数設置した.その結果,妊娠から出産哺育期にあたる4月下旬から6月下旬にかけては,複数メスによる単一模擬枯葉の利用が毎回観察され,6月には幼獣を含む哺育集団が高位置の模擬枯葉で確認された.集団内の成獣や幼獣の数は毎回変化し,利用された模擬枯葉もほぼ毎回異なった.一方,7月から11月下旬にかけてのメスによる模擬枯葉利用は稀で,すべて単独での利用だった.オスの模擬枯葉利用は調査期間を通して稀で,すべて単独での利用だった.コテングコウモリの出産哺育集団が人工のねぐらを利用した報告はこれまでなく,容易に製作できる模擬枯葉は観察が難しい本種の哺育生態を研究する道具の一つとして有用と考えられる.
著者
佐藤 重穂 濱田 哲暁 谷岡 仁
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.S1-S5, 2018 (Released:2018-02-13)
参考文献数
13

四国地域の野外で観察されたサンジャク Urocissa erythrorhyncha の記録をとりまとめた.アジア大陸原産のカラス科に属するサンジャクは飼育個体の逸出に由来すると考えられる個体が四国西部で2000年から記録されており,2017年までに33件の記録が収集された.観察された環境は二次林が多く,針葉樹人工林と農耕地でも確認された.2015年と2016年には幼鳥と巣立ちビナが観察された.本種は四国西部に定着し,低地の広い範囲に生息していると考えられた.
著者
谷岡 仁
出版者
特定非営利活動法人 四国自然史科学研究センター
雑誌
四国自然史科学研究 (ISSN:13494945)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.23-35, 2017 (Released:2021-06-01)
参考文献数
29

In the Shikoku Mountains, during a study of bats (Murina ussuriensis) with artificial shelters, I once observed a Japanese dormouse (Glirulus japonicus) occupied it in daytime. I also found circumstantial evidence of the dormice using the artificial shelters. One is that stripped plant barks were brought into a small room of the artificial shelter, and another is that the material of the artificial shelter (hemp) was partially untied to fibers. These findings suggest that the artificial shelter has a potential to study wild dormice without using nest boxes.
著者
佐藤 重穂 濱田 哲暁 谷岡 仁
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research
巻号頁・発行日
vol.14, pp.S1-S5, 2018

<p>四国地域の野外で観察されたサンジャク<i> Urocissa erythrorhyncha </i>の記録をとりまとめた.アジア大陸原産のカラス科に属するサンジャクは飼育個体の逸出に由来すると考えられる個体が四国西部で2000年から記録されており,2017年までに33件の記録が収集された.観察された環境は二次林が多く,針葉樹人工林と農耕地でも確認された.2015年と2016年には幼鳥と巣立ちビナが観察された.本種は四国西部に定着し,低地の広い範囲に生息していると考えられた.</p>