著者
谷村 信彦 御領 政信 佐藤 優 星野 富男 鴻巣 泰 片岡 稔雄 渡邊 紀之 小谷 猛夫 渡邊 理
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.125-135, 2002-11-25
参考文献数
81
被引用文献数
2

近年の養鶏産業においては、規模拡大と飼育密度の増大に伴う飼育環境の悪化によって日和見感染症や複合感染症あるいは非感染性疾病が増加する傾向にあり、これはブロイラーの皮膚疾病にも当てはまる。皮膚病変を有する鶏は食鳥検査時にと体の品質の格下げ、部分廃棄または全廃棄処分となるため、皮膚病変による廃棄率を低減することはブロイラー産業にとって重要な課題である。また、皮膚病変部に付随する微生物が食鳥処理場に持ち込まれると鶏肉の安全性を損なう可能性があり、食鳥処理場における微生物制御の観点からもブロイラー農場で皮膚疾病の発生を抑える衛生対策が必要である。ブロイラーの皮膚疾病は、病原微生物および宿主要因、環境要因などが複合して発症に関与し、病変も多様である。対策は各々の疾病の原因に基づいて選択しなければならないが、原因や発病機序が未解明の疾病もある。これらの諸問題を整理し、農場における衛生管理および食鳥検査時の疾病摘発に資するため、食鳥検査で廃棄原因となり得る主要な皮膚疾病について病変の特徴および病因、対策を概説する。

1 0 0 0 OA 野鳥の病理

著者
久保 正法 谷村 信彦 後藤 義之
出版者
農業技術研究機構動物衛生研究所
巻号頁・発行日
no.111, pp.9-20, 2005 (Released:2011-03-05)

2002年11月1日から2004年3月31日までに,270羽の野鳥について病理組織学的に検索した。陸鳥204,水鳥30,水辺16,海鳥18,不明が2であった。ウイルスの関与が確認できた症例は2例であり,1例はハトヘルペスウイルス感染症であり,他の1例はスズメのポックスであった。原虫感染としては,コクシジウム感染が22例,atoxoplasma感染が4例,Haemoproteus感染を疑う症例1例,住肉胞子虫感染1例およびトリコモナス感染が1例であった。寄生虫は101例で観察された。寄生虫は1種類だけでなく,2種類,3種類と複数の種類が感染しているものもあった。アミロイド症は18例に見られ,海鳥7,水鳥8,陸鳥3例であった。心臓の病変としては24例にみられた。細菌感染が疑われた症例は14例であり,心外膜炎,膿瘍,敗血症等と様々な病変がみられた。腫瘍は7例にみられた。