著者
竹原 一明 江口 郁夫 種市 淳 鴻巣 泰 渡辺 理 斉加 啓三 山田 淳志
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.14-21, 2003-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

昨今の諸外国での鳥インフルエンザの発生、わが国での大規模養鶏場等におけるニューカッスル病の発生、また、加齢により産卵能力の低下した親鳥(廃鶏)のレンダリング化などに際して、わが国においても、鶏の大量殺処分および処分鶏の適正な処理方法が求められている。そこで、鶏病研究会では、実際に大規模養鶏場において大量殺処分を実施するにあたり、どのような留意点があるか、作業上の問題点、防疫上の問題点、動物福祉の観点から整理し、さらに、殺処分鶏の処理方法に関し、「家畜伝染病予防法(以下、家伝法」ならびに「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃掃法)」等を参照し、疾病の予防、まん延防止や環境保全の観点からも検討し、わが国で実施可能な「鶏の大量殺処分および処分鶏の適正な処理方法」をとりまとめた。実際の適用に当たっては、既存の法令に照らし合わせて、実施することとなるため、各自治体の関係部署による指導の下に適切な処置をとる必要がある。本解説は、具体的な鶏の大量殺処分および処分鶏の適正な処理方法の現状と問題点を概説したものであり、今後必要に応じ参考にして頂きたい。
著者
谷村 信彦 御領 政信 佐藤 優 星野 富男 鴻巣 泰 片岡 稔雄 渡邊 紀之 小谷 猛夫 渡邊 理
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.125-135, 2002-11-25
参考文献数
81
被引用文献数
2

近年の養鶏産業においては、規模拡大と飼育密度の増大に伴う飼育環境の悪化によって日和見感染症や複合感染症あるいは非感染性疾病が増加する傾向にあり、これはブロイラーの皮膚疾病にも当てはまる。皮膚病変を有する鶏は食鳥検査時にと体の品質の格下げ、部分廃棄または全廃棄処分となるため、皮膚病変による廃棄率を低減することはブロイラー産業にとって重要な課題である。また、皮膚病変部に付随する微生物が食鳥処理場に持ち込まれると鶏肉の安全性を損なう可能性があり、食鳥処理場における微生物制御の観点からもブロイラー農場で皮膚疾病の発生を抑える衛生対策が必要である。ブロイラーの皮膚疾病は、病原微生物および宿主要因、環境要因などが複合して発症に関与し、病変も多様である。対策は各々の疾病の原因に基づいて選択しなければならないが、原因や発病機序が未解明の疾病もある。これらの諸問題を整理し、農場における衛生管理および食鳥検査時の疾病摘発に資するため、食鳥検査で廃棄原因となり得る主要な皮膚疾病について病変の特徴および病因、対策を概説する。