著者
大江 昌彦 谷田 佳子 山村 達郎
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.333-337, 2001-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
3
被引用文献数
3 4

肌の透明感は女性の理想の肌状態にも挙げられており, その肌状態の特性を解明することは化粧品の開発に重要な意味があると考える。肌状態に関する意識を調査したところ, 透明感を感じる要素として, キメが細かくみずみずしいなど肌に水分が十分に保持された状態が必要であることが示された。そこで, 肌の透明感と角質層の水分量との関係を明らかにするために, 剥離した角質層の水分量を変化させたときの角質層の透過率を分光光度計で測定した。角質層の水分量が38%以下では, 水分量の増加とともに透過率は上昇したが, 水分量が38%以上では反対に水分量の増加とともに透過率は低下した。また, 健常女性90名の頬に水負荷した場合の分光反射率を測定したところ, 皮膚表面の水分量が多いパネルや, 肌に透明感を感じるパネルでは水負荷後の分光反射率が高くなることが認められた。これらの結果から, 水分量の増加にともなう角質層の透過率の変化が, 肌の透明感を感じる一つの要因であると思われた。