著者
手塚 正 方 甘棠 山村 達郎 正木 仁 左近 健一 鈴木 一成
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.153-156, 1989 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

我々がすでに開発した簡易経表皮水分蒸散計Noevir-Evaを用いて種々の皮膚疾患の経表皮水分蒸散量 (TEWL) を15-18℃ で測定した。老人性乾皮症ではTEWL値は対照老人の2.4倍, 乾癬及びアトピー性皮膚炎皮疹部のTEWL値はそれぞれ正常対照の12.9倍, 11倍を示した。また, 乾癬無疹部のTEWL値は正常対照のそれよりむしろ低値であったが, 対照的にアトピー性皮膚炎無疹部皮膚のTEWL値は正常対照の1.5倍を示した。ケロイド皮膚ではTEWL値は正常人の約4倍を示した。
著者
岡野 由利 岡本 存生 山村 達郎 正木 仁
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.411-416, 1996-03-15 (Released:2010-08-06)
参考文献数
5

毛髪の成長は多くの要因によって複雑に制御されている。男性型脱毛症の原因のひとつとして男性ホルモンの作用が挙げられる。男性ホルモンであるテストステロンは5α-ReductaseによってDHTに変換され, さらにDHTがレセプターに結合することによってホルモン作用を発揮する。そこで我々は80種類の植物抽出液を調整し, この中から5α-Reductase阻害作用を示す成分のスクリーニングを行った。その結果ホップ抽出液が高い阻害作用を示すことがわかった。さらに, ホップ抽出液には培養毛根由来細胞の増殖を促進する作用が認められた。この抽出液を用いてマウスを用いた育毛養毛試験を行ったところ, ミノキシジルと同等の発毛促進作用を示した。また, ヒト頭髪に用いた場合には毛髪成長速度を促進する作用があることも認められた。長期使用試験においても良好な結果が得られたことから, ホップ抽出液は有効な育毛養毛用化粧品原料であることが示された。
著者
大江 昌彦 谷田 佳子 山村 達郎
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.333-337, 2001-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
3
被引用文献数
3 4

肌の透明感は女性の理想の肌状態にも挙げられており, その肌状態の特性を解明することは化粧品の開発に重要な意味があると考える。肌状態に関する意識を調査したところ, 透明感を感じる要素として, キメが細かくみずみずしいなど肌に水分が十分に保持された状態が必要であることが示された。そこで, 肌の透明感と角質層の水分量との関係を明らかにするために, 剥離した角質層の水分量を変化させたときの角質層の透過率を分光光度計で測定した。角質層の水分量が38%以下では, 水分量の増加とともに透過率は上昇したが, 水分量が38%以上では反対に水分量の増加とともに透過率は低下した。また, 健常女性90名の頬に水負荷した場合の分光反射率を測定したところ, 皮膚表面の水分量が多いパネルや, 肌に透明感を感じるパネルでは水負荷後の分光反射率が高くなることが認められた。これらの結果から, 水分量の増加にともなう角質層の透過率の変化が, 肌の透明感を感じる一つの要因であると思われた。
著者
大江 昌彦 奥村 秀信 山村 達郎 松中 浩 森岡 恒男
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.220-225, 2004-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

海水に含まれるミネラル成分であるオリゴマリン®について, 保湿ならびに肌荒れ改善作用に着目して検討を行った。その結果, オリゴマリン®は培養真皮線維芽細胞を活性化して, コラーゲン産生を促進した。また, 培養ケラチノサイトに対しては, 角化マーカーであるトランスグルタミナーゼ (TG-1) やインボルクリンの発現を高め, 角化を充進させることを確認した。さらに, オリゴマリン®の配合量に応じて角層水分量が増加することから, 肌表面での保湿作用が確認できた。実際に, 乾燥肌の被験者を対象とした使用試験の結果, オリゴマリン®を配合したローションの使用部位で角質水分量の増加, TEWLの減少, ならびに角質細胞形態の改善が観察された。したがって, オリゴマリン®には, 真皮マトリックス構造を強化するとともに, 表皮の角化を促してバリア機能を改善することで肌表面の水分保持能を高め, 肌荒れの予防・改善に有用であることが示唆された。
著者
船坂 陽子 松中 浩 榊 幸子 山村 達郎 山本 麻由 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.299-308, 2005

イオントフォレーシスによるビタミンC誘導体の日光性黒子や雀卵斑などの色素斑に対する効果を確認するために,2種類のイオントフォレーシス装置を用いた臨床試験を実施した。<BR>5%リン酸L-アスコルビルナトリウムを,院内用のイオントフォレーシス装置にて医師が週1回3ヵ月,家庭用のイオントフォレーシス装置にて被験者自身が1日1回4ヵ月,それぞれ片顔にイオントフォレーシスを施行し,もう一方は対照側として無塗布および単純塗布のhalf face法とした。<BR>皮膚所見ならびに画像解析の結果,イオントフォレーシス側において,それぞれ32例中31例,37例中37例に有効性を認め,対照側よりも高い改善効果を得た。<BR>また,分光測色計を用いた皮膚色の測定によって皮膚が明るくなることが,さらにレプリカを用いた皮膚表面の形態観察によって皮溝と皮丘から形成される頬部のきめが均一になることがわかった。<BR>以上のことから,イオントフォレーシスは,ビタミンC誘導体の色素斑に対する効果を高めるとともに,皮膚色やきめをも改善することが明らかとなった。
著者
船坂 陽子 松中 浩 榊 幸子 山村 達郎 山本 麻由 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.299-308, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
19
被引用文献数
2

イオントフォレーシスによるビタミンC誘導体の日光性黒子や雀卵斑などの色素斑に対する効果を確認するために,2種類のイオントフォレーシス装置を用いた臨床試験を実施した。5%リン酸L-アスコルビルナトリウムを,院内用のイオントフォレーシス装置にて医師が週1回3ヵ月,家庭用のイオントフォレーシス装置にて被験者自身が1日1回4ヵ月,それぞれ片顔にイオントフォレーシスを施行し,もう一方は対照側として無塗布および単純塗布のhalf face法とした。皮膚所見ならびに画像解析の結果,イオントフォレーシス側において,それぞれ32例中31例,37例中37例に有効性を認め,対照側よりも高い改善効果を得た。また,分光測色計を用いた皮膚色の測定によって皮膚が明るくなることが,さらにレプリカを用いた皮膚表面の形態観察によって皮溝と皮丘から形成される頬部のきめが均一になることがわかった。以上のことから,イオントフォレーシスは,ビタミンC誘導体の色素斑に対する効果を高めるとともに,皮膚色やきめをも改善することが明らかとなった。