- 著者
 
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             倉岡 紗樹子
             
             高橋 索真
             
             豊澤 惇希
             
             石田 正也
             
             香川 朋
             
             榊原 一郎
             
             泉川 孝一
             
             石川 茂直
             
             和唐 正樹
             
             稲葉 知己
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.60, no.3, pp.237-242, 2018 (Released:2018-03-20)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 16
 
          
          
        
        
        
        症例は87歳の女性.大腸内視鏡検査にて潰瘍性大腸炎が疑われ,プレドニゾロン40mg/dayの投与が開始され,1週間後より大量の暗赤色便を繰り返すようになった.上部消化管内視鏡検査にて,胃十二指腸粘膜は粗造で浮腫状,広範囲に白苔を伴い,極めて易出血性であった.胃十二指腸からの生検病理組織にて多数の線虫様虫体を認め,便検査にて多量の糞線虫を確認し,糞線虫症と診断した.イベルメクチン9mg/dayの2週間連日投与を行い,全身状態は改善を認めた.免疫抑制療法に伴う消化管出血では,腸管寄生虫症は留意されるべき病態と考える.特に,広範囲の粘膜表層に炎症を認めた場合は,粘膜生検が寄生虫疾患の診断に有用である.