著者
水重 知子 和唐 正樹 稲葉 知己 水川 翔 高嶋 志保 泉川 孝一 石川 茂直 田岡 伸朗 三好 正嗣 河合 公三
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.3340-3346, 2014 (Released:2014-09-27)
参考文献数
11
被引用文献数
1

胃石の治療としてコカコーラ等の炭酸飲料水による溶解療法の有用性が報告されているが機序は明らかでない.われわれは,炭酸飲料の溶解作用の主体は,二酸化炭素の気泡による物理的作用と考え,柿胃石の2症例に炭酸水による溶解療法を行い有効であったので報告する.症例1は91歳,女性.上部消化管内視鏡検査で5cm大の胃石と胃潰瘍を認めた.症例2は79歳,女性.上部消化管内視鏡検査で4cm大の胃石と胃潰瘍を認めた.2症例とも内視鏡的に破砕困難であった胃石が,1日量2,000mlの炭酸水による3日間の溶解療法後,容易に破砕が可能となった.
著者
泉川 孝一 稲葉 知己 水川 翔 河井 裕介 榊原 一郎 石川 茂直 三好 正嗣 和唐 正樹 河合 公三
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.6, pp.1096-1104, 2014-06-05 (Released:2014-06-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1

症例は,ダビガトラン開始1カ月後より胸焼けを自覚した67歳男性と薬剤開始数日後より心窩部痛を自覚した81歳女性である.内視鏡所見は近似しており,食道に白色あるいは暗青色の膜様物が付着した浅い潰瘍を多数認めた.いずれの症例もダビガトラン投与は継続し,服薬指導のみで症状は消失し潰瘍は改善した.食事中に薬剤を大量の水で服用し座位を保持するという服薬指導は,ダビガトランによる食道傷害の予防に有効である.
著者
倉岡 紗樹子 高橋 索真 豊澤 惇希 石田 正也 香川 朋 榊原 一郎 泉川 孝一 石川 茂直 和唐 正樹 稲葉 知己
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.237-242, 2018 (Released:2018-03-20)
参考文献数
16

症例は87歳の女性.大腸内視鏡検査にて潰瘍性大腸炎が疑われ,プレドニゾロン40mg/dayの投与が開始され,1週間後より大量の暗赤色便を繰り返すようになった.上部消化管内視鏡検査にて,胃十二指腸粘膜は粗造で浮腫状,広範囲に白苔を伴い,極めて易出血性であった.胃十二指腸からの生検病理組織にて多数の線虫様虫体を認め,便検査にて多量の糞線虫を確認し,糞線虫症と診断した.イベルメクチン9mg/dayの2週間連日投与を行い,全身状態は改善を認めた.免疫抑制療法に伴う消化管出血では,腸管寄生虫症は留意されるべき病態と考える.特に,広範囲の粘膜表層に炎症を認めた場合は,粘膜生検が寄生虫疾患の診断に有用である.
著者
井上 雅子 泉川 孝一 須崎 康敬
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.149-153, 2013-04-01 (Released:2013-06-24)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

67 歳,女性。2009 年に発症した潰瘍性大腸炎に対して,インフリキシマブ 5mg/kg 投与中であったが,消化器症状が悪化したため 2011 年 10 月にインフリキシマブを 10 mg/kg に増量されていた。2011 年 11 月ごろより発熱とともに左手首から手背にかけての発赤,熱感,腫脹が出現し当科に紹介された。抗生剤を投与したが症状は急速に悪化し,CT,MRI で壊死性筋膜炎を疑いデブリードマンを施行した。膿の細菌培養,抗酸菌培養,真菌培養は陰性で,病理組織検査で真皮全層の好中球浸潤を認めた。以上より壊疽性膿皮症と診断し,インフリキシマブの中止とプレドニゾロン投与を開始し症状は軽快した。インフリキシマブで壊疽性膿皮症の発症を抑えきれなかった可能性とインフリキシマブの paradoxical な反応の可能性についての鑑別が必要と考える。
著者
青山 祐樹 高橋 索真 稲葉 知己 泉川 孝一 中村 聡子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.145-152, 2019-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
30

70歳男性.黒色便・貧血精査の小腸カプセル内視鏡検査で回腸に輪状潰瘍を認め,原因としてnon-steroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)貼付剤が疑われた.貼付を中止し小腸粘膜保護剤を開始後,潰瘍治癒にともなう瘢痕狭窄によるイレウスを発症し外科切除を要した.特異的な病理所見は認めず,臨床的にNSAIDs起因性小腸潰瘍と診断した.貼付剤でも消化管粘膜傷害を生じうる.