著者
井坂 和一 豊田 透花 大前 周平 高橋 悠 大坂 利文 常田 聡
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.217-223, 2021-11-20 (Released:2021-11-20)
参考文献数
30
被引用文献数
1

高濃度窒素排水の処理方法として,嫌気性アンモニア酸化(アナモックス)反応を用いた排水処理システムの実用化が進められている.化学工場の排水や天然ガス採掘で発生するかん水などは,37°Cを超える高水温になる場合がある.さらに国内の夏季気温が40°Cを超えることがあることから,高温条件がアナモックスプロセスへおよぼす影響について,実排水処理を想定した長期的な影響評価が必要である.本研究では,アナモックス細菌を包括固定化担体と付着固定化した異なる2種類の担体を用いて連続試験を行い,高温条件がアナモックス活性へおよぼす影響を評価した.その結果,包括固定化担体を用いた試験系では,37°C条件とすると活性は徐々に低下し,窒素変換速度は1週間で37%低下した.また,38°C条件に設定すると,1週間で49%の窒素変換速度の低下が確認された.付着型担体を用いた試験系においても,37°C条件とすると活性の低下傾向が確認された.16S rRNA遺伝子に基づくアンプリコンシーケンシング解析により,アナモックス細菌の優占種は“Candidatus Kuenenia stuttgartiensis”であることが明らかとなった.これらの結果から“Candidatus Kuenenia stuttgartiensis”を優占とするアナモックスプロセスでは,37°C以上の運転は困難であり,36°C以下で運転する必要性が示された.さらに,高温条件下におけるアナモックス反応比について調査した結果,アンモニアの除去量(ΔNH4+)に対する硝酸の生成量(ΔNO3−)の比(ΔNO3−/ΔNH4+)およびアンモニアの除去量(ΔNH4+)に対する亜硝酸の除去量(ΔNO2−)の比(ΔNO2−/ΔNH4+)は,共に低下する傾向が確認され,高温による活性低下を検知する1つの指標が示された.