著者
貞方 勉
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産學會誌 = Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.969-976, 2000-11-15
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

産卵期と幼生ふ出期およびその間の海深別の採集個体の年齢群を解析することにより, ホッコクアカエビの着底以降の海深別の分布と移動を調べ, これまでに得られた知見と合わせて本種の生活史を明らかにした。本種は浮遊幼生期を経て着底後, 成長にしたがって海深の深い方へ移動する。海深400-600mが交尾・産卵海域で, 主群は雄では3,4,5歳, 雌では6,8,10歳である。3-4月に産卵した抱卵個体は, 約10ヶ月の抱卵期間後の1-2月に海深200-300mに移動して幼生ふ出をおこなう。
著者
貞方 勉
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.1010-1022, 1999-11-15
参考文献数
38
被引用文献数
4 4

卓越年級群の頭胸甲長組成の追跡および産卵周期の解明によって本種の成長を実証的に明らかとした。本種の多くは5歳から6歳の間で雄から雌に性転換する。雌期では, 隔年で3回以上の産卵をおこない, 7歳で初めての幼生ふ出をおこなうことから, 寿命は11歳以上と推定された。この結果は, 従来の知見よりも成長は遅く, 寿命は長い。成長式としてl<SUB>t</SUB>=34.15[1-exp{-0.252(t+0.016)}]を得た。ただし, l<SUB>t</SUB>は年齢tの頭胸甲長(mm)である。日本海は本種の分布の最南端に位置するが, 成長は世界的にみて最も遅い。これは生息場が日本海固有水の影響を受けるためである。